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【探訪 都の企業】

<第1部>【2】チバダイス(葛飾区高砂) 歯車で技術立国支え 地域への思い

2008年4月1日

古くからある技術で新しいニーズを発掘し、成長をとげた千葉英樹チバダイス社長

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 「中国価格でお願いします」。大手メーカーの取引先から届いた歯車の見積依頼書と図面には、値引きを要求する手書きの文字が書き加えられていた。二〇〇三年、中国製品が「安くて使える」と本格的に脚光を浴び始めた時代だった。

 東京都葛飾区に本社工場、埼玉県八潮市に工場と研究所を擁するチバダイス。「ダイス」と呼ばれる特殊な工具で削り出した歯車が、創業以来の主力製品だ。「中国価格」とは、従来の取引価格よりも「半分に値引きしろ」という意味だ。

 千葉英樹(えいじゅ)社長(39)は「コストダウンの裏付けのない値引きは、いつか破たんする。それは地域の雇用を担う企業の本質からズレている」と反発し、その手の発注は全部断った。だが仕事は激減し、売上高は一時、四割減まで落ち込んだ。

 「もうダメか」。従業員は四十人。IT業界を視野に多角化の道を探った。だがITバブルがはじけたばかりで、新規参入は難しかった。「原点に戻る」。千葉社長はもう一度、歯車の世界で幅を広げていく道を探り始めた。幸い仕事が減った分「勉強に費やす時間はあった」という。

 歯車と一口に言っても、金属製や樹脂製など製造方法により二十近くの業界に細分化される。その全部をカバーする柔軟さを身に付ける方向に動いた。

 樹脂製の歯車では強度が足りないことが判明したときには、金属製への転換を取引先に提案した。臨機応変に対応することで着実に仕事を回復した。

 キヤノン、富士ゼロックス、リコー…。同社の取引企業の一部だ。千葉社長は「世界市場で、わが社がかかわっていないコピー機やプリンターを探す方が難しいだろう」という。さらにデジカメの望遠レンズを駆動する部品、国内外の自動車の電動シート部品など、同社製品は多様な分野で生かされている。

 千葉社長がこだわり続けるのが「設計図で決められた数字に込められている意味」だ。静粛性を求めるためなのか、耐久性の向上が目的なのか−。丹念に数字を読み解きながら、より質の高いメード・イン・ジャパンを追い求める。そうすれば「次第に高くなる世界的な景気減速の波も乗り切れる」と信じている。

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■地域への思い

 「小さい工場が集まる葛飾だからこそ互いを思いやることができる。困ったときは誰かが教えてくれ必要な場を与えてくれる。セイコーグループの前身、精工舎で歯車技師をしていた祖父から三代、この地で歯車に携わっている。私より父の仕事ぶりを知っている人たちに囲まれ、モノづくりを支える葛飾の土壌の豊かさを感じる」 (千葉社長)

 

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