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【探訪 都の企業】

<第1部>【4】ダイワハイテックス(板橋区大原町) 書店の悩み 技で解決

2008年4月3日

「コミックシュリンカー」(手前)を製造販売している「ダイワハイテックス」の大石孝一社長(中)と若手社員たち

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 五街道の一つ、中山道(国道17号)で最初の宿場だった板橋宿(板橋区仲宿周辺)。付近は戦後、精密・光学機器や印刷関連の工業集積で発展した。

 宿場の中心から街道を一キロほど北へ行った板橋区大原町に、ダイワハイテックスはある。同社の看板商品は、コミック本をフィルム包装する機器「コミックシュリンカー」だ。全国五千五百以上の書店で利用され、市場シェア90%を占める。

 創業は、大石孝一社長(58)が事務機器商社を退職後の一九七八年。当初は、うどんなどの食品包装機を手がけていた。転機は三年目、立ち読み客に悩む書店からの声だった。「コミック本を包装できないか」。蓄積した技術を生かして専用の包装機を開発、納入したところ、書店の売り上げは15%アップした。

 今では当たり前となった透明フィルムに包まれたコミック本。最初のうちは「中身が見えないと売れない」と否定的な声が大半だった。だが「他人の手あかが付いた漫画本は買いたがらないはずだ」。大石社長のこの読みは的中した。

 「いいモノが売れるのではなく、売れるからいいモノなんです」。大石社長はまず顧客のニーズを読み切ってから商品化することの大切さを強調する。

 顧客重視の姿勢は、商品を売った後にも発揮される。機器は段ボール箱に収まる大きさに三分割が可能だ。故障時には宅配で受け取り直ちに代替機を送る。書店向けに情報紙を発行したり、新店オープンの際は社員が出向いて包装を手伝う。

 大石社長は「商品の企画や設計さえしっかりしていれば、いいモノは作れる」と力説する。さらに「カギは地域の中小製造業と協力すること」。

 同社は現在、販売や企画、設計などを手掛け、板金や塗装、組み立てといった過程は板橋区内の別の中小企業などに委託する。「町工場が集積する板橋周辺はビジネスがしやすい」という。ただ委託先の中には、大手メーカーの海外移転に伴って経営的に苦戦する下請けの企業も多い。

 大石社長の創業当時、ピークだった区内の工場数は大幅に減り、周囲は宅地化が進む。大石社長は「荒川を渡って(埼玉県)戸田市や川口市に移った工場も多い」と少し残念そうだ。

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■職住近接貫く

 「板橋区志村に生まれ、ずっと区内で生活している。起業したときは相生町で、都営三田線の高架下にあるアパートの一室。次に清水町の貸事務所、そして大原町に現社屋を購入した。8年前から住む中台を含め、いずれも半径数キロ圏内。長時間働く自営業者は職住近接がやりやすい。区内で新社屋を探していますが、値段が高いのが悩みです」 

  (大石社長)

 

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