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【探訪 都の企業】

<信金編>【2】昭和信用金庫(世田谷区北沢) 地域通貨 浸透を後押し

2008年6月29日

「地域と一体となってやっていく」と語る昭和信用金庫の神保和彦理事長

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 朝から晩まで取引先の資産査定に奔走し、時には融資打ち切りも決断せざるを得ない毎日…。昭和信用金庫の神保和彦理事長(61)は苦しい日々を振り返った。昭和信金は、二〇〇〇年から〇二年にかけ相次いで経営破たんした三つの信金・信組の事業譲渡先となった。「地域に根付いた金融機関が突然なくなった。いくつもの中小企業や商店が廃業していくのをみた。あの苦しみは忘れられない」

 昭和信金は今、地域とのきずなを一層深めるため「地域通貨」とのかかわりを積極的に進めている。

 京王線千歳烏山駅周辺。約百二十の商店で年間一億円分以上が流通するほど、地域通貨「ダイヤスタンプ」が浸透している。昭和信金はこの盛り上がりに着目し、「からすやまダイヤスタンプ定期」の募集を行っている。「うちの烏山支店では、窓口来店客に地域通貨のポイントを差し上げ、現金として預金もできます」(神保理事長)

 特徴は、定期預金十万円ごとに最大でスタンプ一万枚が当たる懸賞が付いている点だ。同支店の大中俊彦支店長(53)は、「スタンプ一万枚を預けても約一万三千円の現金という扱いになります。スタンプはポイントが二、三倍になる商店街のセール中に使えば、もっと価値が増しますよ」と、地元への消費波及効果を口にする。

 こうした地域通貨への参加は、コストもかかる。烏山支店では「スタンプ定期」の懸賞用や来店客に与えるためのポイントを、地元商店街の事務局から年間約四百五十万円分購入している。だが大中支店長は「これは単なる経費ではなく、地元の元気につながる支出」と位置づける。

 「スタンプ定期」は、地元で広く使える地域通貨が当たるという魅力で、今年の募集預金枠が開始当初の一・五倍の十八億円にまで増加するなど、信金の営業面にも好影響を及ぼしている。

 神保理事長は「地元企業のためを考え、時にはリスクをとって融資すると同時に、われわれ自身がいかに健全経営を続けるか。地域金融の経営はそのバランスが難しい」と話す。そのかじ取りをするために、街をめぐる地域通貨を通じて、地元の小さな企業や商店の声に「耳を傾け続ける」という。

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■地域への思い

 生まれは世田谷区経堂で、ずっと地元で仕事をしてきた。世田谷は緑も豊富だし、なにより安心安全な街が多いのがいい。信金マンは、お客さんと、顔と顔を合わせるのが基本。理事長となった今でも、いちばん忙しいのは、世間とは逆で、お盆休み。あちこちで開かれる夏祭りや盆踊りに、少しでもいいから顔を出すようにしている。 (神保理事長)

 

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