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【探訪 都の企業】

<信金編>【3】西武信用金庫(中野区中野) 地元活性化“仕掛け人”

2008年6月30日

主催した物産・見本市で、出店した店の試食品を買い物客に勧める法被姿の西武信用金庫の山崎正芳理事長(左)

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 「奥多摩の地酒、いかがですか」「村山名物のうどん。味と香りが違いますよ」

 新宿駅西口広場のイベントコーナーに、威勢のいい掛け声が響く。多摩地区を中心にした六十五社の地場食品を集めた見本市。主催が信用金庫という変わり種のこのイベントは、二日間で二万八千人を集めた。

 “仕掛け人”である西武信用金庫の山崎正芳理事長(64)は「いい商品を作っても地元の狭い範囲でしか知られていない。都心で売ることで知名度が高まり、販路拡大にもつながる」と説明する。

 信金は営業エリアが決められている。地域の景気が悪くなったからといって撤退はできない。「地元中小企業とは運命共同体」という西武が選んだ道は食品見本市にもみられるような信金の業務を飛び越えた「本業支援」だ。

 「近くでいい野菜を作っている農家を紹介しましょう」「この食品加工に最適の機械を作っているメーカーがあります」

 地元を回る営業マンは、金融サービス紹介や税務相談といった通常業務のほかに、企業の原料仕入れ・加工・販売の過程を検討し、最適のパートナー企業を紹介する「事業マッチング」活動を展開。大学の研究成果を企業が利用する「産学連携」の手伝いも行う。

 山崎理事長は「待っているのではなく、新しい資金需要をつくり出していくことが大切だ」と力説する。

 西武が積極戦略に乗り出したのは、バブル崩壊後の金融不況がきっかけだ。取引先企業が打撃を受け、二〇〇三年三月末で不良債権率は10・66%まで膨らんだ。その後、三年間で十五の支店を閉鎖。さらには新規採用を抑えるという苦しい時期も経験した。

 現在、不良債権率は三分の一以下に。地域貢献度を図る目安ともいえる預貸率(預金をどれだけ貸し出しに回したかをみる指標)が70%を超える「健全体質」に変ぼうした。

 西武は昨年四月、全六十二店舗の営業時間を午後五時まで延ばすという全国の金融機関でもほとんど例のない試みを実施した。「他の金融機関がやっていないことに挑戦する」。地元の活性化と利便を追求し続けることが「地域金融」西武の誇りとなっている。

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■地域への思い

  西武信用金庫は渋谷区から多摩地区に広がる地域と埼玉県西南地域、神奈川県相模原地域が事業エリア。多摩を中心に人々のつながりの強い地域で、愛着を感じています。この地域が活性化しないと、西武も生き残っていけない。地元に溶け込んで、事業者・商店の発展の支援をするのが信金の役目と思って経営を行っています。 (山崎理事長)

 

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