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【探訪 都の企業】

<奮闘編>【3】東和興産(荒川区南千住) 高級洗車、レンタカーも

2009年1月8日

従業員と一緒に洗車のふき上げをする東和興産の林彰社長(左)

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 荒川区南千住のガソリンスタンド「プレステージ三ノ輪SS(サービスステーション)」では、洗車を待つ列ができた慌ただしい年の瀬が過ぎ、新年が静かに始まった。

 「過去に経験がない一年だった」。本社併設の同店など四カ所のスタンドを運営する東和興産の林彰社長(57)は昨年を振り返る。

 原油相場は七月の最高値一バレル=一四七ドルから年末には三十ドル台前半まで下落。年明けには中東情勢の悪化で再び五十ドル近くまで上昇するなど乱高下を繰り返している。レギュラーガソリンの店頭価格も、一リットル当たり百八十円台をピークに現在は百円近辺まで落ち、先行きも不透明だ。

 周辺にあるスタンドとの価格競争から、ガソリンを値上げする際は卸値を販売価格に転嫁しきれず、下落局面では消費者の買い控えが値下げ競争に拍車をかけた。「周りに付いていかねば」。週末前ごとに価格を変更するライバル店の看板が不安をかきたてた。

 林社長をさらに苦しめたのが、金融危機の影響により、もう一つの収益源だった潤滑油の販売が打撃を受けたこと。世界的な製造業の減産を受けて、顧客である町工場などが工作機械の稼働率を下げたため、油の使用料が大幅に減った。

 ガソリンスタンドを取り巻く環境は厳しさを増す。三十年前に約三千四百店あった都内のスタンドは三分の一近くの千三百店弱に減少。昨年だけでも百店以上が閉鎖した。

 「指をくわえている時ではない。収益を確保するには、かばんの中身(サービスできる内容)を増やす必要がある」。林社長が生き残りの軸にすえるのは、周囲で切り替わりが進むセルフ式ガソリンスタンドとは異なる、手厚い対面サービスの利点を生かしたビジネスだ。

 まず手を付けたのが洗車のメニュー拡大だ。新車販売が低迷する中、「逆に車をきれいにして長く乗るニーズが高まっている」と、中心価格の洗車料金より十倍以上する一台二万−三万円の価格帯を追加。半日かけ車内も含め隅々まで洗車するサービスで、新たな顧客獲得を狙う。

 若者を中心としたマイカー離れに対応して、二月には中古車を活用した格安レンタカーのフランチャイズへの加盟を計画。その場で給油できたり、整備や清掃などガソリンスタンドならではのノウハウを生かせるのが強みだ。「宅配サービスやクリーニング店とか、道路沿いに店を構えてお客さんに取り次ぐビジネスはほかにもいろいろある」。新業態を視野に入れた林社長の模索は続く。

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■地域への思い

 「隅田川に隣接する荒川区南千住は、住宅がひしめく古い町並みが今も残っています。今年で創業57年を迎えますが、昔は日光街道(国道4号)に面した店の前を都電が走っていました。お客さんの多くが地元の人ですが、最近は若い人がマイカーを持たなくなってきているのが残念です。スタンドが減っていく中、今後も地域の燃料供給拠点として頑張りたいです」 (林社長)

 

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