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【探訪 都の企業】

<商店街編>【中】原宿表参道欅会(渋谷区) 多様性に強みと不安

2009年6月30日

表参道で話す原宿表参道欅会の松井誠一理事長=東京都渋谷区神宮前で(河口貞史撮影)

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 ケヤキ並木の緑豊かな表参道。有名ブランド店が連なり、国際色豊かな人々の波が途切れることはない。

 裏道の雑居ビルに事務所を構えるのが「商店街振興組合 原宿表参道欅(けやき)会」。商店街という響きが不似合いな地域。だが清掃活動やケヤキ保護など地域に根ざした活動を続けている。

 ルイ・ヴィトン(フランス)、バーバリー(英国)、昨秋日本に進出した衣料品店「H&M」(スウェーデン)、表参道ヒルズやラフォーレ原宿…。「商店街」という独特の組織に内外のブランドが、小さな店舗とともに共存する。年間予算は約八百の加盟店からの会費や協賛金などで二億円以上にもなる。

 外国のブランド店は、なじみのない「商店街」に対し、「地域の仕事は行政に任せればいいじゃないか」などと当惑するケースもあるという。しかし、地域密着型の活動を説明すると納得。今年四月進出し話題となった衣料品店「フォーエバー21」(米国)も入会を約束したという。

 昨年秋のリーマン・ショック。厳しい消費不況が覆う中、表参道は逆に客足を伸ばした。要因はやはり、「H&M」と「フォーエバー21」。おしゃれで安価な服が時代にはまり若者を呼んだ。同会によると、四月は前年比で一日平均五千人増、五月の連休は初日に、前年より三万人多い十三万人台に。売り上げの三割を担う外国人旅行客らの急減で落ち込んだ表参道を、二店が救った形だ。

 だが不安もある。会員の出入りの激しさは「把握できないほど」(同会)で、松井誠一理事長(57)は「表参道らしくありつづけること自体が最大の課題」と指摘する。

 不安の背景にあるのが土地バブルとその崩壊だ。三年前「港区南青山」の上昇率が全国一位になるなど周辺地価は急激に上昇。投機的な動きが活発化した。

 松井理事長は「金を出していたのがリーマンなど米国の証券大手だった。その後、土地が誰の手に渡ったか把握できず、そこで好ましくない商売が始まったら」と懸念する。

 このため同会では、業種による進出制限ができるよう働きかけるなど、行政との連携を模索。生命線でもある、時代を先取りした“表参道らしさ”の維持に懸命だ。

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■エコノミストの目

 外から見た街全体のイメージは重要で、表参道の価値を守り続ける活動は必要だ。例えば通称「裏原」と呼ばれる裏道など、個性的な小型店が進出できる場所を守るのもひとつだろう。商店街組織には法的拘束力がなく、街づくり活動と店舗の激しい出入りとは、実は裏腹な面もある。これほどの街の価値を守るには、行政との連携がより重要になるだろう。(日本総研・宮田雅之主任研究員)

 

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