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【探訪 都の企業】

<信金編>【中】巣鴨信用金庫(豊島区巣鴨) 光る技術 橋渡しで洗練

2010年5月3日

巣鴨の街について語る巣鴨信金の麻生久常務理事(右)ら=東京都豊島区巣鴨で(沢田将人撮影)

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 円形のプラスチックの真ん中に金属が埋め込まれている「うすけずりん」。つめの先を金属部分に軽く押し当ててなぞるだけで、簡単につめを研ぐことができる。

 作ったのは金型職人の高橋健司さん(68)。簡単な構造に見える製品だが、中心の金属部分には金型の技術が凝縮されている。「つめは切れても皮膚は切れない。高齢者でも安心して使える」という製品は今、巣鴨信用金庫の支援で、女性を中心に幅広い世代への浸透を目指している。

 高橋さんが一人で切り盛りする「タカハシ金型サービス」は、板橋区赤塚にある。この付近は昔から金型職人が集まっていた。だが、長引く不況で数年前から次々と金型工場が廃業に追い込まれた。

 この道五十二年の高橋さんも、「金型の仕事がほぼゼロになった」。もともとアイデア製品の開発が好きだったため、新たな製品に挑戦したが、「職人一筋でやってきた。営業は素人だ。どう売り出せばいいか分からなかった」という。

 そんな高橋さんと巣鴨信金の出会いは、昨年十一月に板橋区で開かれた産業見本市だ。会場を訪れていた信金職員が目を付けた。「パッケージを工夫して見せ方を変えれば、若者にも売れると確信した」。巣鴨信金の村山幹夫調査役(55)は振り返る。

 区の専門家派遣サービスに橋渡しし、デザイナーを紹介してもらった。デザインを青紫が基調で昭和の薫り漂うものから、かわいらしいピンクに変更。商品名も「うすけずり」から「うすけずりん」に変えた。一個八百円の値を付け、販路を開拓中だ。

 高橋さんは「零細企業でも、いい物を作っていれば報われると思えた。信金さんに見いだしてもらった私は幸せ者です」と話す。

 巣鴨信金は昨年九月、中小企業を応援する「すがも事業創造センター」を設立。「販路を拡大したい」「売り上げに結び付かない」といった相談に応じ、課題解決の糸口を探す。

 麻生久常務理事(61)は「素晴らしい技術を持ちながら、収益に結び付けられない企業は多い。企業の光るものを伸ばし、経営改善のお手伝いをするのが信金の役目だと思う」と話す。

■地域への思い

 生まれも育ちも巣鴨信金の地元の駒込で、私にとって地域は家族。地域の子どもたちが成長して、後継ぎとして活躍する姿を見るとうれしい。街並みが変わったが、義理人情に厚い人々の心は今も変わらない。「何かあったら巣鴨信金に相談しよう」と思ってもらえる、存在であり続けたい。(田村和久理事長)

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