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【探訪 都の企業】

<信金編>【下】東栄信用金庫(葛飾区新小岩) 情報結ぶ“陰の営業マン

2010年5月4日

取引先の児玉機械製作所の児玉一良社長(右)と談笑する東栄信金の北沢良且部長=東京都江戸川区中央で(潟沼義樹撮影)

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 地元企業の強みや特徴を把握している−。これこそが信金の持っている大きな財産だ。東栄信用金庫は、そんな財産を活用し異業種企業の“仲人役”として新たな連携を生み出している。

 東栄信金本店からほど近い江戸川区中央。昔から準工業地帯として町工場が並ぶ。この地域にも、リーマン・ショックに端を発した世界的な不況は直撃した。

 自動車関連部品を作るための機械を製造している児玉機械製作所。自動車のマフラーを最終仕上げする独自の技術を世界で初めて開発した“オンリーワン企業”でもある。しかし−。

 「この二年間、生き残るために、できることはすべてやった」。二代目の児玉一良社長(60)は振り返る。

 金融危機後、自動車メーカーは一時、設備投資をほぼ凍結した。この影響で受注がぱったりとなくなり、売り上げは通常の十分の一に激減した。従業員の生活を守るため、苦渋のリストラを行い、二十四人いた従業員は三分の一に減らした。

 厳しい経営環境の中、児玉社長が「何か新しい“ものづくり”を」と取り掛かったのが、そばを作る製めん機の製造だった。自動車産業で培った制御技術をベースに、そば粉からそばを打ち、ゆで上げるまでを半自動で可能にする設備を開発した。

 この新しい挑戦を後押ししたのが、東栄信金だ。本店営業部の北沢良且部長(54)が何度も工場に足を運び、信金の顧客である食材の卸問屋や、全国展開する宅配ピザチェーン店などとの橋渡しを実現。各企業が持つノウハウを集結し、異業種が共同で取り組む新しいそば店の形態を提案した。

 五月中にも二度目の試作機が完成。試行的にそばの販売に向けて動きだす。児玉社長は「北沢部長は製品に本気で関心を持ち、一緒に考えてくれた。大手銀行は決算書にしか興味を持たない。信金さんは“陰の営業マン”と言っても過言ではない」と話す。

 北沢部長は力を込める。「身近な金融機関だからこそ知ることのできる、地元企業の情報がある。それらを結び付け、新しいビジネスを生み出していけたらと思う」  (この連載は、経済部・須藤恵里が担当しました)

■地域への思い

 地元はものづくりが盛んで人情が厚い。でも下請け企業が並んでいた20年前に比べると街は変わった。工場は仕事が減り、商店街はデフレの波にじっと耐えている。地域が苦しい時こそ地元に生きる金融機関として、できることがある。規模が小さい信金ならではの、小回りの利く親身な取り組みを続けていきたい。<中里恵明理事長>

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