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【探訪 都の企業】

<信金編>【上】東京東信用金庫(墨田区東向島) 『産』と『学』の合作演出

2010年11月27日

石川金網の石川幸男社長(左)と打ち合わせする東京東信用金庫の桂川正巳コーディネーター=東京都荒川区で(潟沼義樹撮影)

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 ペットボトルのふたを静電気を利用して分別する。そんなアイデアをもとに、まったく新しい分野の製品づくりに踏み出した企業がある。

 金網製造業の石川金網(東京都荒川区)。自動車のオイルフィルター用金網などを手掛けている企業だ。同社は、産学連携に取り組む東京東信用金庫の仲介で、芝浦工業大学との共同作業に乗り出している。本業とはまったく別分野の、ペットボトルのふたを原料ごとに分別する装置を開発中だ。

 きっかけは、金網製品の販売先であるリサイクル業者からの声だった。リサイクル意識の高まりから、ペットボトルのふたの回収活動は進んでいる。一方、市場には原料の異なる二種類のふたが出回っている。混在した状態で再生樹脂にすると「品質が落ちて安い値段でしか売れず、採算が取れない」という業者からの声が出ていた。

 業者の不満を聞いた石川金網の石川幸男社長(51)は「お客さんに喜ばれる仕事がしたいとの思いから、自分たちで何とかできないかと考えた」という。しかし高度な専門知識を要する分野だ。大規模プラントを持つ大企業なら分別が可能だが、「やはり、うちでは無理か」と思った。だが…。

 新たなステップへの道筋を付けたのが東京東信金だった。同信金の産学連携担当のコーディネーターが、提携先の芝浦工大で「静電気を利用した分別法を研究している教授がいます」と石川社長に紹介。共同で、物質ごとに静電気の帯び方が異なるという原理を利用した分別装置の試作機にこぎ着けた。

 同信金の桂川正巳コーディネーター(69)は「アイデアや技術はあっても、中小企業一社で新たな分野に参入するのは難しい。われわれが間に入り『産』と『学』の橋渡しになれば」と話す。

 長引く不況で自動車関連の受注は激減した。大手メーカーが海外に生産拠点を移し、仕事は減り続ける。

 「これまでの枠組みにとらわれず、発展性のある分野に飛び込んでいかないと生き残れない」と石川社長。現在、「信金演出による都の企業と大学による合作機」は商品化に向け仕上げ段階に入っている。

   ◇  ◇

 波状的に襲う円高、再燃する欧州発の金融不安…。中小企業を直撃する荒波は依然、激しい。地域経済を黙々と支える“都の信金”の活動をリポートする。

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◆地域への思い

 信用金庫は営業地域の中での取引が原則で、信金の命運は地域の盛衰にかかっている。効率化を追求する時代の中、なおざりにされてしまっている「人と人の関係」を重んじ、「縁」を経営理念としている。ほかの金融機関にはまねできない信金の独自性を発揮して、地域になくてはならない金融機関として地域活性化のための活動を続ける。 (長谷川圭志理事長)

 

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