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【探訪 都の企業】

<アジア奮闘編>【上】タイ協和化工(環境浄化装置の製造・管理) 洪水 早期復旧に誇り

社員の仕事を見守るタイ協和化工の新谷武昭社長(右)=タイ・サムットプラカン県で(寺岡秀樹撮影)

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 「工場が浸水して装置が水に漬かった。何とかしてほしい」。タイを大洪水が襲った昨年秋。バンコクに近いタイ協和化工に、助けを求める顧客からの電話が相次いだ。

 タイ協和化工は工業製品をつくる際に出る有害ガスを浄化・処理する「環境浄化装置」を製造し、管理も手がける。顧客約七十社の大半は、自動車部品や半導体などを製造する日系企業。多くが洪水の被害にあった。

 「こんな光景は見たことがない」。早速、顧客の企業が入る工業団地に飛んだタイ協和化工の新谷武昭社長(70)は、どす黒い汚水に沈む工場を前に言葉を失った。「要望にできる限り素早く応えよう」。水が完全に引かない昨年十二月から、新谷社長と社員約六十人の奮闘が始まった。

 半導体や液晶パネルをつくる過程では、使用する薬品から有害ガスが出ることがある。これを浄化・処理する環境浄化装置は円柱形。大きいものは直径約三メートル、高さ約六メートルになる。洪水で浸水した装置は百二十超。それらを一つ一つ回収して作り直したり、再び工場に据え付けたりする作業に取り組んだ。

 新谷社長は「同じ日系企業として復旧を支援できたのは誇りだ」と話す。顧客の多くは年度が替わる前の三月までの復旧を希望。これに応えようと奮闘する社員の残業時間は連日、通常の三倍に達した。

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 その表情に疲労の色が浮かんだこともあったが「不満の声は聞こえてこなかった」と新谷社長。二〇〇一年の設立当初は「社員は時間にルーズ。責任感に乏しいと感じられることもあった」。しかし今では社員が自発的に勉強会を開き、商品づくりや安全管理の徹底を話し合う。

 タイ協和化工は上海の工場と並ぶ協和化工(東京都豊島区東池袋)のアジアの拠点。日本企業がタイに工場を移す動きを強めるにつれて業績は伸び、一一年度の売上高は約一億六千百万バーツ(約四億円)と、十年前の約十四倍に達した。

 「お客さまが海外に工場をつくれば、どこへでもついて行く」と協和化工の司城(つかさき)武洋社長(69)。環境浄化装置などをつくるタイの工場は今は賃貸物件だが、四月には自社工場が動きだす。「インドネシア、ベトナム、フィリピンなどでも企業の要望に応えたい」。司城社長は力を込めた。 (バンコク・寺岡秀樹)

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 一時の勢いは衰えたとはいえ、成長を続けるアジア経済。アジアで奮闘する「都の企業」を紹介する。

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<豊島区の本社から一言>司城武洋社長「技術力さらに磨く」

 タイ協和化工がつくる環境浄化装置などは、すべてお客さまごとに仕組みが違うオーダーメードの商品です。協和化工は今年、創立六十周年。技術力をさらに高め、国内外でよい商品を提供していきたいと思っています。

 

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