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【探訪 都の企業】

<学生ビジネス編>【下】無料複写サービス「タダコピ」 オーシャナイズ(渋谷区桜丘町)

無料でコピーできる「タダコピ」を運営するオーシャナイズの菅沢聡社長=東京都品川区の立正大学大崎キャンパスで(坂本亜由理撮影)

写真

◆裏面広告 学生つかむ

 試験前のノートのコピーやサークル活動の資料づくり…。大学生がコピーに使うお金は結構かさむ。これが無料になったらうれしいよね−。

 そんな実感から生まれたのが、タダでコピーができる「タダコピ」だ。七年前、慶応大三年だった菅沢聡社長(27)ら学生五人が運営会社「オーシャナイズ」(渋谷区桜丘町)を立ち上げた。

 大学内に設置した専用のコピー機で印刷すると、裏面にカラフルな広告が印刷されて出てくる。企業からの広告費により、コピー代は無料。設置する大学は、今では北海道から沖縄県まで全国約百五十大学に広がった。

 菅沢さんは「大学生の生活スタイルはバラバラで、効果的な広告が難しい」と分析する。その中で共通しているのは、「週に数回は大学に来ること」。確実に大学生にアピールできる手段として、タダコピを提案する。学生の「口コミのすごさ」も広告効果を広げる狙いどころだ。

 「選挙に行こう」と呼び掛ける選挙管理委員会、就職関連の企業。広告主は延べ五百五十社に上る。牛乳離れを食い止めたい牛乳メーカーの広告では、学内の自動販売機の売れ行きが通常の倍以上に伸びた。安さをウリにしている紳士服メーカーには「安さだけでは学生にウケませんよ」と助言。「スーツを着たら好きな子にメアドを教えてもらえた」のキャッチコピーは、学生に近い彼らだからこその心のつかみ方だ。

 それでも「社員の平均年齢が二十八歳になり、大学生と少しずつ離れてきた」と菅沢さん。大学生の「関心」や「行動」の変化をつかむため、交流を密に持ち続けるよう心掛ける。

 いま進めている事業は、新たな就職活動の形を提案するウェブサイト「キャリアレック」。学生は、インターネット上に経歴や志望業種、自己PRなどを載せる。企業側がこの「履歴書」を見て、関心のある学生に連絡を取る仕組み。これまでの企業に学生が接触する形とは逆のアプローチだ。

 将来は、「世界中の大学生へのサービス提供が最終目標」という。既に子会社を設立して「タダコピ」を始めた中国、米国に続けと、世界各国に自ら足を運んでビジネスチャンスを模索している。

 「大学生はこれからの日本を、世界を引っ張っていく人たち。『気づき』や『感動』に出会うきっかけをつくってあげられたら」と夢は膨らむ。

 (この連載は須藤恵里が担当しました)

 

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