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【探訪 都の企業】

<新大久保 非韓流編>【上】イスラム食品店 信頼・人気 宗教超えて

食品店「ナスコ」を経営するナセル・ビン・アブドゥラさん(左)=東京都新宿区百人町で(坂本亜由理撮影)

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 金曜日の昼下がり。JR山手線の新大久保駅周辺は、普段通り韓流ファンの女性たちでにぎわっていた。だが、路地を一本入ると街の風景は一変。アラビア文字が書かれた商店が並び、彫りの深い顔立ちの男性たちが行き交っている。

 国籍はインドやパキスタン、バングラデシュなどさまざま。毎週金曜午後、雑居ビル四階の礼拝所で開かれるイスラム教の集団礼拝のため、関東各地から集まってきた人々だ。

 新大久保には、彼らを相手に商売する食料品店が五軒集まる。中でも草分け的な商店が、礼拝所と同じビルの一階にある「ナスコ」。二〇〇一年に開業し、店内には牛肉や羊、鶏肉のほか、インドやスリランカの香辛料、缶詰などが並ぶ。

 店に並ぶのはどれもイスラム教の教義に従って処理された「ハラル食品」。イスラム教徒は豚肉や酒の摂取を禁じられており、これらが入った油や調味料もご法度。牛や羊などの肉も処理方法が厳しく決まっている。

 インド人経営者のナセル・ビン・アブドゥラさん(54)は一九八九年に来日したが、当時の日本ではハラルの肉が手に入りにくかった。「仲間で肉を食べたいと思って仕入れていたら、商売になってしまった」という。

 礼拝所で導師も務めるナセルさんは、一日五回の礼拝を欠かさない。時間が来れば、店のシャッターを下ろして礼拝所に向かう。「経営者が礼拝を欠かさない店だからこそ、きちんとしたハラル食品を扱っていると客から信頼されるんだ」

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 一方、隣にあるハラル食品店「バラヒ」の経営者はイスラム教徒ではない。ギミレ・ブサンさん(46)は、ヒンズー教徒のネパール人。ネパールの記者養成機関で教育係だったギミレさんは、上智大大学院新聞学専攻の客員研究員として〇二年に来日。三年間の大学生活を経て、在日ネパール人向けの新聞を出したいと思い立った。

 それには資金が必要で、目を付けたのがハラル食品店の経営だ。狙いは当たり、羊やヤギの肉を好んで食べるイスラム教徒以外の外国人も店に集まって来た。〇九年十月には、念願の在日ネパール人向けの新聞「ネパールニュース」(月二回)の発行も始めた。

 イスラム圏では信じられない光景だが、ハラル食品店が集まる隣には、韓国の豚料理店や中華料理店があり、皆が仲良くビジネスをしている。「新大久保はコリアンタウンだけでなく、多様な文化が共存する国際的な街であることを知ってほしい」。ギミレさんは新大久保に国籍や人種、宗教を超えたさらなる発展を期待している。

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 日本での韓流ブームの発信地として注目される新大久保。一方で新大久保を拠点に、さまざまなビジネスを展開する多様な外国人にスポットを当てる。

 
 

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