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【探訪 都の企業】

<続・震災奮闘編>【下】復興支援 節電から 小松ばね工業(大田区大森南)

試作品の精密ばねを手にする小松ばね工業の小松節子会長(中)と小松万希子社長=東京都大田区大森南で(中嶋大撮影)

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 「コストをかけずに、身近なところからと思って始めたのが節電でした。昨年度は電力削減量が目標を上回り、浮いた(節約できた)分は従業員全員に現金で還元しました」

 本社・工場の二階応接室。東京電力福島第一原発事故による夏場の電力不足を受け、精密ばねメーカー、小松ばね工業の小松節子会長(72)は、トップダウンで実行した節電対策の成果を解説した。いち早く取り組んだのは、被災地復興への強い思いからだったという。

 二〇一一年度の節電計画は、七〜九月に全社の電力使用量を一〇年度比で15%削減する目標を設定。照明、エアコン、パソコン、コピー機の稼働時間を減らす他、残業時間を削減、生産設備も稼働時間をずらすことなどを細かく決めた。

 クールビズについても、製造、管理、営業などの部署ごとに服装(Tシャツ・ポロシャツなど)の色・柄を同社として独自に指定。成果は想定以上にあり、本社・工場では削減率が30%と目標の二倍を達成した。会長の長女で、昨年七月にトップを引き継いだ万希子社長(44)は「今夏分は集計中ですが、一一年度と同程度の実績を残せたのでは」と胸を張る。

 同社は一九四一年、大田区の現在地で創業。精密ばねはカメラのシャッター用を専門にスタートし、今では電子機器、自動車部品、医療機器向けなど取引先は幅広い。

 線径(金属の直径)が〇・〇三ミリと髪の毛より細い超精密ばねに、「大田ブランド」を代表する町工場の熟練技が生きている。工場は大田区の三カ所の他、秋田、宮城両県とインドネシアに一カ所ずつある。

 昨年三月十一日。工場のある宮城県大河原(おおがわら)町は震度6弱の揺れに見舞われた。工場は倒壊を免れ、機械設備が破損した程度。二十人余の従業員に被害はなかった。「不幸中の幸いと申しましょうか。受注減で生産調整せざるを得ず、当日はたまたま工場を休みにしていたので、誰もいなかったんです」と節子会長は苦笑した。

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 工場は〇七年、同県柴田町の工場の老朽化に伴って移転し、建物の耐震性は格段に高くなっていた。機械設備の補修などを経て、震災から一週間後には一部操業再開にこぎ着けた。この間、東京と秋田の工場が連携し、納品の遅れを出さずに済んだ。

 創業社長の父親が亡くなり、社会人経験の全くない節子会長が専業主婦から突然、会社を継いで二十八年。「リーマン・ショックで仕事は急減しましたが、ものづくりに磨きをかけ取引先を増やしていきたい」。万希子社長との二人三脚は続く。

 (この連載は編集委員・鈴木俊朗が担当しました)

 東京ドーム(文京区)で11月1日に開く「日本を明るく元気にする“よい仕事おこし”フェア」は、600を超えるブースを設け、首都圏の企業のほか、東北の被災企業が出展する。東北特産品の展示即売があり、ご当地グルメも味わえる。東京新聞も出展、新聞製作を実演する。入場無料。

 

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