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【探訪 都の企業】

<水のインフラ編>【下】掘らずに耐震下水管 メーシック(文京区)

簡単な工事で下水道管を耐震化させる工法を開発したメーシックの今崎雄司社長=東京都文京区湯島で(稲岡悟撮影)

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 下水管の延命対策と耐震化を一度にできないか−。そんな自治体関係者の悩みを解決したのが、文京区の建設会社「メーシック」が、都の第三セクター東京都下水道サービスと共同で開発した新技法、その名も「耐震一発くん」だ。

 まずマンホール内部と下水管の接続部分に強化ゴムのリングを取り付け、特殊な接着剤で固定する。これで地震で揺れても下水管の接続部分が抜け落ちるのを防ぐことができる。さらに下水管本体の強度を高めるため、管の内側全体に特殊な樹脂を流し、熱で固めて新たなパイプを作る「更生」工事も一度に行う。

 今崎雄司社長(55)は「これまでは耐震化と更生の作業を別々に行うしか方法がなかったが、同時に行えるようになった」と新技法の特徴を説明する。

 革新的なのは道路を掘り起こさずに、マンホールの内部から工事ができることだ。掘り起こしがないため工事の期間を短縮できる上、費用も従来の三割ほど安くなるという。第三者機関の評価でも、下水管の寿命が約五十年延び、震度6〜7程度の地震にも対応できることが証明された。

 東日本大震災では、地震で下水管の接続部分が壊れて、周囲の土砂がマンホール内に流入して下水道が使えなくなったことが問題となったが、「耐震一発くん」の工事を施した都内や横浜市などの下水管では、被災後も下水処理に問題は起きなかった。

 メーシックは一九九九年、技術開発に力を入れるため、今崎社長が経営する別の総合建設会社から技術者を集めて設立した。「公共事業が減り、インフラの維持管理技術の必要性が高まる」(今崎社長)と見込んでのことだった。

 下水管内部の腐食を防ぐため、汚泥の焼却灰を再利用したコーティング剤や、大震災による液状化でマンホールが地上に突き抜けた千葉県浦安市のような例を防ぐための工法なども積極的に開発している。

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 下水道の整備は一九六四年の東京五輪に合わせて進めたため、老朽化した下水管は今後急速に増え続ける。東京二十三区内の下水管の総延長約一万六千キロメートルのうち、法定耐用年数の五十年を超えたものは約千五百キロメートルに上る。今後二十年間でさらに老朽下水管は六千五百キロメートル増える見通しだ。

 今崎社長は「下水道などの社会インフラをいかに長寿命化させていくかは、国全体としても大きな課題。他社にまねできないような技術で解決策を提供していきたい」と力を込めた。

  (この連載は岸本拓也が担当しました)

 

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