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【探訪 都の企業】

<こだわり製品編>【下】血液製剤運ぶバッグ 荏原(目黒区八雲)

特殊な断熱材を使用した血液製剤などの輸送バッグを手にする荏原の佐々木健社長=29日、東京都目黒区で(淡路久喜撮影)

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 「(輸血などで使われる)血液製剤を良い状態で保ち、安心して使ってもらいたい」。血液の温度を一定に維持しながら輸送できるバッグ「エバッグ」を開発・販売している荏原(目黒区八雲)の佐々木健社長(33)は、自慢の製品への思いを語る。

 荏原は長年ワクチンや血液製剤を保管する医療用冷凍庫などの製造を主に手掛けてきた。佐々木さんは七年前に、それまで勤務していた広告代理店から当時父親が社長を務めていた荏原に転職。ライバルの大手家電メーカーと差別化を図るためにも「保管だけでなく、輸送段階から使う製品を一括して提供したい」と考え、エバッグの開発を始めた。

 血液製剤は保管温度の幅が狭く、厳しい温度管理が求められる。例えば赤血球製剤の場合、血液製剤をつねに二〜六度に保ちながら輸送、管理する必要がある。

 他社のバッグとの違いは断熱材にある。従来は発泡スチロールを使った製品と真空断熱材を使った製品が主流だったが、「発泡スチロールでは断熱効果が小さく、真空断熱材は重くて壊れやすいとの欠点があった」。そこで佐々木さんは住宅の内壁などに使われている「フェノールフォーム」という断熱材に着目した。

 新しい断熱材を採用した結果、断熱性能に優れ、丈夫で軽いエバッグが完成した。発泡スチロール製のバッグと比べ温度を保つことができる時間は一・五倍に延び、「気温三八度の中で四十七時間も一定の温度を維持できる。重量は一番小さい容量八リットルのサイズで一・一キロ、真空断熱材製の約半分になった」という。

 エバッグの販売を始めたのは二〇一一年の初め。これまでに日本赤十字や研究所などに約五千個を納めた。日赤では、各地域にある血液センター間で必要な血液の量を調整するため相互に輸送する際に利用している。担当者からは「丈夫で持ち運びやすい」と好評だ。

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 東北地方の日赤の血液センターにも東日本大震災前に納品を始めていたことから、「震災の時にも、どこかで役に立てたのではないか」と佐々木さんは話す。

 現在エバッグはインドネシアやベトナムでも各種ワクチンの輸送に利用されている。「昨年は韓国の展示会にも出品し、今後展開していく計画」という。海外でも血液を運び命をつなぐバッグは活躍の場を広げそうだ。  (この連載は木村留美が担当しました)

     ◇

 2013“よい仕事おこし”フェアでは約400のブースが設けられ、東北の被災企業も出展する。東北特産品の販売やグルメを味わえるコーナーもある。東京新聞も出展し、新聞製作を実演する。入場無料。

 

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