東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 探訪 都の企業 > 記事

ここから本文

【探訪 都の企業】

<立川編>【上】音+アニメ 客開拓 ご当地作品を積極上映 シネマシティ

アニメ上映などに力を入れるシネマシティの川手佑吉正専務=東京都立川市で

写真

 立川市は秋葉原、中野に続きアニメや漫画、美少女フィギュアなど若者文化の西の中心地になっている。都心から離れた場所で「文化発信」を担っている都の企業を紹介する。

 立川市は人気漫画「聖(セイント)☆おにいさん」の舞台となったり、立川駅周辺などに似た風景がアニメ「とある魔術の禁書目録(インデックス)」に描かれるなど、三、四年前から、アニメファンが作品で登場した場所を訪ねる「聖地巡礼」でにぎわうようになった。

 複合型映画館「シネマシティ」(曙町)の川手佑吉正(かわてゆきまさ)専務(34)は「地元で突然起こったアニメブーム。チャンスになる」と考え、大胆な手法でご当地アニメなどを積極的に上映している。

 今年五〜六月、「聖☆おにいさん」の映画版を上映した際には、映画製作会社が、主人公のイエスとブッダが暮らす立川の安アパートの部屋を、映画館近くの「シネマ通り」の空き店舗(高松町)に再現。映画館のある駅北口から南口方面に足を延ばせば、主人公が遊んだ通称「オニ公園」(錦町、錦第二公園)を訪れることができる。

 「ファンは映画の余韻が冷めないうちに、主人公の部屋や、劇中に登場する立川市内の聖地を巡礼できる」とあって、観客動員数は全国七十五の上映館で三番目に多い九千人に上った。

 シネマシティは一九五一年、洋画専門館「立川セントラル劇場」として開業。当時は米軍立川基地があって、大勢の米兵も見に来たことから、市内には最大十館の映画館がひしめき合っていた。その後は徐々に姿を消し、今やシネマシティが市内で唯一、映画館の灯を守る。

 ご当地作品ではないが、三月に上映したアニメ映画「けいおん!」では、独特の上映スタイルが多くのファンの支持を得た。

 映画の中で軽音楽部の女子高生たちが演奏するのに合わせて、音楽ライブのように、観客も歓声を上げたり、体でリズムを取ったりできるようにした。川手専務は「客席で約二百三十人の男女が、登場人物のせりふに思い思いに合いの手を入れ、独特の熱気に包まれた」と話す。

 郊外にある同館が、年間百万人近くの入場者数を維持できるのは、「近年のアニメブームの影響もあるが、何よりも音響へのこだわりが大きい」という。

写真

 上映作品に応じて、十カ所以上あるスピーカーを使って臨場感のある音をつくり出す独自の音響設備を導入。「極上音響映画祭」と銘打って上映される「レ・ミゼラブル」「オペラ座の怪人」などのミュージカル映画には、都内だけでなく、関東各県からも耳の肥えたファンが訪れる。

 とはいえ、同館の客層は中高年や女性が中心。そこで今後の構想の一つが、自慢の音響システムとアニメ映画との融合だ。

 川手専務は「迫力のある戦闘シーンが話題のアニメ映画で『極上音響映画祭』を開くなど、こだわりの音でもっと若い客層を開拓できる」とアイデアは尽きない。

 

この記事を印刷する

PR情報