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【探訪 都の企業】

<立川編>【下】即 飾れる 造形美 マニア垂ぜんのフィギュア 壽屋

最新の劇場版アニメ「ヱヴァンゲリヲン」のフィギュアを手にする壽屋の清水一行社長=東京都立川市で(圷真一撮影)

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 立川が漫画やアニメに登場し、「聖地巡礼」と称するファンが押し寄せるようになる前から、ここにはブームの先駆けともいえる「オタク」たちの憧れの場所があった。

 立川駅北口にあった玩具メーカー「壽屋(ことぶきや)」(立川市曙町)の直営店。他店にない美少女フィギュアやプラモデルが手に入るとあって、週末には長野や山梨など近県からも買い物客が集まった。入居していたデパートの取り壊しで地元直営店は昨年五月に閉店したものの、今も本社を立川に置き、世界のファンが憧れる製品を発信し続けている。

 同社を一躍有名にしたのは、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する少女「綾波(あやなみ)レイ」のソフトビニール製フィギュア(一九九八年発売)。それまでは組み立て模型を製造・販売していたが、初めて完成品のフィギュアを手掛けた。

 若者たちは普及したインターネットや携帯電話に時間を割くようになり、「作る手間を省きたいという需要がある」と予測。清水一行(かずゆき)社長(59)は「箱から出したら、すぐ飾りたいという人たちから、爆発的反響があった」と話す。

 完成品であるがゆえに、造形美にこだわった。色むらやはみ出しが生じやすい筆塗りから、部分的にスプレーを吹きつける塗装に切り替えたことでアニメらしい鮮明な色を表現でき、「綾波レイにそっくり」と評判を呼んだ。

 「愛好者のかゆいところに手が届くような商品を世に送り出してきた」という背景には、終戦直後の四七年に立川で開業し、長年、「まちの玩具店」として歩んできた歴史がある。「ない商品はない」をモットーに掲げ、客から店頭にない商品を求められたら、できる限りの手を尽くして仕入れた。

 玩具販売から八四年にメーカーとして始動したのも、清水社長(当時店長)が熱心な模型愛好者から、「既存のプラモデルには欲しい物が少ない」という不満を聞き、マニアを満足させる商品を置きたいと考えたのがきっかけだった。

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 九九年にはゲーム「ファイナルファンタジー」のキャラクターのフィギュアを米国で発売。完成度の高さを気に入った映画製作会社「ルーカスフィルム」から、映画「スター・ウォーズ」のフィギュア製作の許可を得た。悪役「ダース・ベイダー」をはじめとする関連商品は世界各地で売り出され、海外での知名度も高まった。

 フィギュアやプラモデルだけでは成長に限界があることから、近年は雑貨にも商品を拡大している。「スター・ウォーズ」に登場するロボット「R2−D2」の形をした氷が作れる製氷皿が最近のヒット作だ。

 「うちが作るからには、ちょっと異質で、とんがった商品でないと意味がない」と清水社長。まちの玩具店時代からの「開拓精神」を土台に、新たな商品開発を模索し続ける。 (この連載は伊東浩一が担当しました)

 

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