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【探訪 都の企業】

<五輪編>地元舞台採用 技に磨き 競技用具メーカーに活気

円形のセルロイド(中央)が機械にセットされ、80度の熱湯で卓球のボールが半球状に成形される=茨城県古河市で(松崎浩一撮影)

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 二〇二〇年の夏季五輪が東京で開催される。首都圏には、ものづくりの技を生かし、五輪選手の活躍を陰で支える競技用具メーカーがいくつもある。地元開催決定を受け、「東京でもっと記録を伸ばせるように」と、これまで以上に技術の探究に意気込んでいる。 (伊東浩一)

 日本卓球(東京都千代田区)のピンポン球は、どこを打っても同じように飛ぶ精度の高さから、バルセロナ、アトランタ、ロンドン五輪で、卓球王国・中国のメーカーなどを抑えて、試合用の公式球に選ばれた。世界選手権でも十三回採用された実績がある。

 セルロイド製の板から成形した半球を合体させて作られ、わずかに厚みの違う半球同士でもバランスを欠く。機械と人の目が百分の一ミリの違いまでチェックし、均衡の取れた球を生み出す。

 来年七月以降、国際試合の使用球がセルロイド製から、プラスチック製に切り替わり、東京五輪でも新素材の球が使われる見通し。開発担当の江川仁(ひとし)さんは「素材が変わっても、従来通りの精度は保てる」と自信を示す。

 東京五輪の競技用具は本番の一年半ほど前までに、大会組織委員会が最終決定する段取りになっている。「地元で開かれる五輪で、メード・イン・ジャパンの品質の高さをアピールしたい」と、東京での採用を目指す。

 陸上器具メーカーのニシ・スポーツ(江東区)は、ハンマーや砲丸、円盤などの投てき器具が、アトランタから五大会連続で五輪に採用されている。

 特に、回転による遠心力が物を言うハンマーは、いかに金属球の重心を中心よりも外側に置き、遠心力を大きくできるかが重要。中に入れる比重の大きな希少金属や鉛の量などの研究を重ね、規定の範囲で重心をずらしている。ロンドン五輪では、銀、銅の両メダリストが同社のハンマーを使った。

 船橋工場長(千葉県船橋市)の安積(あさか)聡さんは「東京で、自分たちの作ったハンマーが飛ぶのを直接見られるかもしれない。楽しみだ。もっと遠くに飛ぶようにさらに研究を続けたい」と意欲を示す。

 ほかにも、埼玉県のメーカーのテニス、バドミントンラケット用「ガット張り機」が北京、ロンドン五輪に採用されるなど、多くの競技で首都圏の製品が貢献している。いずれも中小メーカーで、職人の長年の勘と、機械の最新技術が、大舞台を支える緻密で丈夫な競技用具を生んでいる。

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