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【探訪 都の企業】

<町田編>【下】安全 膨らむ子ども傘 マイファースト

「はじめての傘」を手にするマイファーストの吉田ひろこ社長=東京都町田市で(小平哲章撮影)

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 子どもは一歳半にもなると大人をまねて傘を持ちたがる。だが、転んで金属部分でけがをしたり、振り回して周囲の人や車を傷つけたりするのではと心配し、もっと大きくなってからという保護者は多い。

 町田市金井の「マイファースト」が開発した「はじめての傘」(希望小売価格・税抜き千七百円)は、金属や硬い部品は使わずすべてがビニール製。吉田ひろこ社長(43)は「一歳半〜三歳の子にも安心して持たせられます」と笑顔で話す。

 ビーチボールのように空気を入れ膨らませると長さ約三十八センチ、直径約六十センチ、重さ約二百グラムの傘の形になる。視界が広くなるように太陽や車などを描いた以外の部分は透明にした。子どもが傘の使い方を学ぶ知育玩具だが、レインコートを着て使えば傘の役目も果たす。空気を抜けば、週刊誌程度の大きさまで小さく折り畳める。

 二児の母の吉田社長も雨の日に苦労した。「傘を持ちたいという自我の芽生えは大切と思っても余裕がなくてイライラして」。傘をさしたいと泣く子に「だめだめ」と言うことにストレスも感じたこともある。

 大学卒業後、電機メーカーに就職し、出産を機に退職。育児のかたわら夫や知人の会社経営者らと夢のある商品作りを目指して語り合っていた時、アイデアが生まれた。

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 突然の雨に折り畳み傘は役に立つが、荷物にもなる。もっと小さく軽い「究極の折り畳み傘」が作れないか。試行錯誤するうち、空気で膨らませることを思い付いた。構想段階で利用者は限定していなかったが、商品化前のユーザー調査で手応えを感じた小さな子向けに特化した。

 昨年二月、都内の商品見本市で試作品が注目を集め、新製品コンテストで準大賞を受賞。翌月、貯金を取り崩して会社を立ち上げ、梅雨入り前の六月発売を目指した。都心に出やすく緑が残り育児に適していると住んでいた町田に、起業の相談や助成金の交付など市や商工会の支援があったことも幸いした。

 赤ちゃん用品店やネットで販売し、一カ月で千五百個以上が売れたこともある。だが、パッケージに入った状態では子ども用傘と分かってもらえず、売り場で素通りされることも。「パッケージの改良と認知度を上げることが今後の課題。世界初の優れた商品で、利用者の満足度は高い」。子どもと母親が笑顔で過ごせる一助になるという自信をのぞかせた。  (この連載は北條香子が担当しました)

 

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