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【探訪 都の企業】

<五輪サポート編>【上】競技用車いす オーエックスエンジニアリング(千葉市)

競技用車いすの販売などを手がけるオーエックスエンジニアリングの石井勝之社長=千葉市若葉区で

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 陸上競技用車いすの販売で国内トップを誇るのが、オーエックスエンジニアリング(千葉市若葉区中田町)だ。初参入した一九九六年のアトランタ・パラリンピック以降、同社の車いすに乗った国内外の選手が、陸上やテニス、バスケットボールなどで取ったメダルは百六個に上る。

 パラリンピックの車いす陸上競技は、選手たちの鍛え上げた肉体の力を推進力に変え、直線では時速四十キロのスピードが出る。

 石井勝之社長(34)は「この分野では一番との思いで、常に新しい構造や素材を探し続けてきた」と振り返る。アトランタ用の車いすでは、前輪と後輪をつなぐパイプに、断面の形が楕円(だえん)のパイプを採用した。「選手が体を激しく上下に動かしながらこいでも、耐えられる縦の強度を重視した」

 その後、選手の能力向上などでスピードが上がってきたため、シドニーでは、カーブを高速で曲がる際の横からの力に強い三角形の「おにぎり形」に変更。アテネではさらに縦、横からの力に強い「ひょうたん形」にし、ロンドンではパイプの素材そのものを、従来のアルミから軽くて丈夫なカーボン製に変えた。

 同社は、石井社長の父の重行さんがバイク販売店として七六年に設立。重行さんは八四年、事故で両脚が不自由となり、車いす生活を送ることになった。「格好良くて便利な車いすをつくりたい」。そんな重行さんの夢から八九年、車いす生産に参入した。

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 だが、社員九十人足らずの後発メーカーには知名度がない。石井社長は「パラリンピックは自社の技術力をアピールする格好の場と考えてきた」と話す。メダルを次々獲得したことなどで、技術力のある企業イメージが浸透。パラリンピックで培った技術は主力商品である一般用車いすの魅力向上にもつながっている。

 重行さんは一昨年、六十四歳で他界した。石井社長は「先代がそうだったように、私も自社製品がメダルをいくつ取るかにこだわっていきたい。それが良い車いすを作り続けていることの証しだから」と、東京でのパラリンピックでもチャレンジを続ける決意だ。

      ◇

 二〇二〇年の夏季五輪、パラリンピックが東京で開催される。首都圏の中小企業も、競技用具の製作を通じて選手たちを陰で支えており、東京での開催に意欲を燃やしている。

 

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