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【探訪 都の企業】

<五輪サポート編>【下】「壊れない機械」を追求 東洋造機(埼玉県新座市)

ット張り機を前に話す東洋造機の土田明社長=埼玉県新座市で(安江実撮影)

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 埼玉県新座市にある社員十人の東洋造機。この町工場が作るテニスラケットなどのガット(糸)張り機が、五輪の大舞台で活躍するテニス、バドミントンの選手を陰で支えている。

 時速二百キロを超えるサーブが繰り出されるテニスの試合では、ラケットのガットの張り方のわずかな強弱がボールの行方を左右する。このため、選手たちは試合のたびにガットを張り替えている。

 東洋造機のガット張り機はコンピューター制御の使いやすさと丈夫さに定評があり、二〇〇八年の北京五輪、一二年のロンドン五輪と連続で公式のガット張り機に採用された。

 土田明社長は「特に北京五輪では数百本のラケットのガットを張り替えたが、クレームが一つもなかったことがうれしかった」と振り返る。

 主にテニスラケットを製造していた東洋造機がガット張り機の生産に参入したのは一九八三年。ガットの張り替え作業をしていた人が、力のいる手動の機械を使ってけんしょう炎に悩んでいたことがきっかけだった。土田社長がこだわったのは機械の「丈夫さ」。「スポーツ店の閉店間際に高校のテニス部員が張り替えに駆け込んでくることがある。その時、機械が壊れていたら、部員は翌日の大会に出られないかもしれない」からだ。

 部品の耐久性にこだわり、九割を自前の金属切削機で製造。常に正確な張り具合を再現するため、九〇年にはコンピューター制御の機械を開発した。評判は海外にも伝わり、九八年に米国のラケットメーカー、プリンスと契約。〇二年にはヨネックスと国内独占販売契約を結んだ。最新機の価格は一台百万円程度で、生産台数の半数強を海外に輸出。ドイツなど世界二十七カ国で使われている。

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 壊れにくい長所が評価され、十年以上前に四十五万円で発売した機種でも三十五万〜三十七万円の高値で取引されている。海外に一度出荷したら簡単には修理できないため、機械の丈夫さに対する責任感は増すばかりだ。土田社長は「自分たちが死んでも機械は世界各地で動き続け、選手を支えてほしい。そんな気概で作っている」と力を込めた。 (この連載は伊東浩一が担当しました)

 

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