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【探訪 都の企業】

<小金井編>【上】甘くない手作り技術 ケーキ用の砂糖菓子人形 アートキャンディ

ケーキを彩る人形を製造しているアートキャンディの門倉美英社長=東京都小金井市で(木口慎子撮影)

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 食関連の分野で、中小企業が担う役割は大きい。今回は小金井市を拠点に、食生活を楽しくする製品を生み出している「都の企業」を紹介する。

 デコレーションケーキの上に乗った、小さなサンタクロースやウサギ。少し硬いが食べられる。「メレンゲドール」と呼ばれる砂糖菓子で国内シェア約六割を誇るトップメーカーが、今年で創立五十年を迎える「アートキャンディ」(小金井市中町)だ。門倉美英(かどくらみえ)社長(43)は「お客さまがケーキの箱を開けた瞬間の、『わあっ!』という笑顔のために働いている」とほほ笑む。

 創業のきっかけは、父親の副島正義(そえじままさよし)会長(79)が会社員だったころ、偶然に入った洋菓子店で聞いた店員のひと言だ。「ケーキに乗っている人形を、子どもが食べちゃうんですよ。ろうそくなので危ないんですが」

 脱サラし、生地や機器の試行錯誤を重ねて、砂糖とコーンスターチ、でんぷん、水あめで作ったサンタクロースが完成。初めは商品を風呂敷に包んで全国に売り込んで回った。今では本社と国内四支店、二工場に計二百人の従業員を抱えるまでに成長し、ベトナムにも合弁工場を造った。

 自社デザイナーがアイデアを凝らして考案する人形を、工場のパート従業員らが「これ、かわいいわね」と顔をほころばせながら一つ一つ手作り。門倉社長は「高品質の商品は、パートの技術力の高さがあってこそ」と従業員らへの感謝を忘れない。製品は税込み百二十九円からインターネット直販も行っている。

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 門倉社長は五年前に入社した。それまでは三人の子どもの育児に専念し、社会人経験がなかった。生え抜きの社員たちに教えられながら知識を身に付け、昨年九月、父の後を継いで社長に就任。全国各地の取引先にあいさつに回ると「アートキャンディの製品は品質がいい」と口々に言われた。父や社員が努力して築いてきた信頼の厚さを肌で感じたという。

 「社名は知られていなくても、誰でもわが社の商品を目にしたことがある」と自負する。「アートキャンディが小金井にあるということを誇りに思ってもらえるように」と、地元に愛される企業を目指している。

 

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