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【探訪 都の企業】

<働き方改革編>(上)出社週4回、8時間勤務 会社の稼ぎ方変える

住宅兼事務所で机を囲み、会議に臨む佐藤貴浩社長(左)ら=東京都武蔵野市で(北村彰撮影)

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 電通の新入社員だった女性が過労死と認定され、長時間労働は日本の企業にはびこる深刻な問題としてクローズアップされている。心や体を壊さないで働く方法を模索する「都の企業」を紹介する。

 「徹夜が当たり前の業界で、こんな働き方ができるなんて」。今春、転職したデザイナーの佐藤麻美さん(30)は勤務条件を聞き驚いた。これまでの会社は大量の仕事を短い納期でこなすことに追われ、泊まり込みが常態化していたからだ。

 ところが東京都武蔵野市の「佐藤創作デザイン事務所ガーベラ」では午前十時に出社し、午後六時半ごろ退社する。出社は週四日で、金曜日は在宅勤務だ。

 社長の佐藤貴浩さん(41)はデザインや、ゲームといった長時間労働が目立つ業界に身を置き、二〇〇七年にはデザイン会社を起業した。しかし、仕事優先の生活から一一年に離婚。その後も睡眠時間一日三〜四時間で働き続け、翌一二年には心筋梗塞で倒れて会社は破産した。「家族を失い、死にかけて、ようやく働き方を変えなきゃって思い知りました」

 デザイン業界では「かわいくして」といった感覚的な注文が多い。顧客との認識をすり合わせようと修正を繰り返すため時間がかかる。「土日でやって」と納期でむちゃを押し付けられることもしばしばだ。

 再起業したガーベラで、佐藤社長は思い切った改革に乗り出した。企業理念に「仕事と家庭の両立」を掲げ共感してくれる企業とだけ取引する。年間百件の仕事を受けていたが、強引な注文をしてくる企業は断り、数社に絞った。顧客とじっくり向き合うことで意思疎通が進み、「一発OK」で仕事が進むことが増えた。

 話し合いの中で、インターネットを活用したビジネス拡大に悩む会社が多いことに気付いた。そこでデザインにネット関連の相談サービスを付け加えることで、仕事の単価を上げた。顧客が新たな客を紹介してくれる好循環も生まれた。

 スタッフは正社員とアルバイトの計五人。仕事が特定の人に偏らないようにメールの送り方などはマニュアル化し、誰もがこなせるようにした。育児や介護で不在の人がいても対応できる職場づくりが目標だ。

 長時間労働から抜け出すには「商売のやり方を根本から変えること。働き方を変えるには、稼ぎ方を変えないとダメなんです」と佐藤社長は強調した。

 

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