東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 探訪 都の企業 > 記事

ここから本文

【探訪 都の企業】

<信金編>【3】城南信用金庫(品川区) 「相談」能力引き出す

誰でも気軽に相談できる「なんでも相談プラザ」のオープンスペース=東京都品川区の城南信用金庫本店で

写真

 初対面の相手にも遠慮せず核心に踏み込んだ。「パッケージを変えましょう」

 昨年四月、城南信用金庫の「なんでも相談プラザ」でビジネスアドバイザーを務める林康明さん(50)は、「新製品が売れない」との相談を受けていた。ベンチャー企業「エムエーエスジャパン」(品川区)が企画したチタン製のヘアピン。金属アレルギーに苦しんだ経験を持つ鈴木久子社長(42)にとって「安心して使ってもらえる」こだわりの逸品で、四本入りの一箱が五千円を超えた。

 林さんは一見して「包装が高級品に見えない」と感じ、「見せ方を変えれば高くても大丈夫。ギフト用を狙いましょう」と具体的に提案した。桐(きり)の箱を採用してデザインし直すと、マスコミの注目も集めて販路が徐々に広がっていった。製品の中身や値段はそのままに、「お客さんにどう見えるか」を工夫しただけだ。

 相談プラザは二〇一五年六月にオープン。販路開拓や法務相談など、中小企業の困り事を一カ所ですべてサポートする。お金の相談だけではなく本業までも手助けするのが特徴で、これまで延べ二千六百件近い相談を受けている。

 林さんらは配属前、中小企業支援のプロとして知られる静岡県富士市産業支援センターの小出宗昭センター長(58)のもとで、半年間修業した。小出さんの教えは「経営者はえてして商品の見せ方や自社の能力が分かっていない。われわれの役目は気付かせること」。

 子ども向け3D映像を制作する中小企業には、ホームページの刷新など宣伝の仕方を助言。経営者は七十歳近くで廃業も考える状況だったが、支援後は「自社ビルを建てたい」とおどけるほど目の色が変わった。ある青果店には卸売りの能力が「商社並み」に優れていることを気付かせ、販路の拡大につなげた。

 「われわれのひと言で企業は変わる」。責任の重さとやりがいを感じながら、顧客に寄り添う支援を続けている。

写真

◆理事長のひと言

 「なんでも相談プラザ」は開設後、対応しきれないほどの相談が寄せられている。さまざまな助言をしたり、専門家を紹介したりするサポートの体制がかみ合ってきた。ものづくりが盛んな大田区も三十年間で六割ぐらい企業数が減ってしまっている。再び皆さんに元気になってもらう活動こそ、われわれの最も重要な役割といえる。(渡辺泰志理事長)

 

この記事を印刷する

PR情報