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【探訪 都の企業】

<信金編>【4】朝日信用金庫(千代田区) 地域のため本気です

常盤堂雷おこし本舗の社員から話を聞く朝日信用金庫浅草雷門支店の担当者(右)=東京都台東区浅草で

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 「本気ですか?」「本気です。社長も本気になってください」。想定外の提案にたじろぐ社長に、たたみかけた。

 東京都台東区の浅草寺。観光客でにぎわう雷門の横で店を構える「常盤堂雷おこし本舗」に対し、朝日信用金庫は債務の一本化を提案した。

 浅草土産の定番「雷おこし」を製造・販売する同社は、創業が江戸時代末期という老舗だ。バブル期に膨らんだ多額の債務に悩まされ、複数の金融機関に支払う金利が利益を圧迫していた。

 朝日信金は二〇一五年七月、その債務を一手に引き受け、金利負担を大幅に減らす資金繰りの改善案を打ち出した。提案を聞いた常盤堂の中村一真経理次長(41)は「メガバンクでもないのに、こんな多額の債務を受けてくれるのか」と半信半疑だった。

 「浅草に根差した老舗。地域と一緒にある自分たちこそが、支えるべきだ」。当時、浅草雷門支店長だった広瀬尚徳・西巣鴨支店長(50)は、強い思いがあった。同社の店舗に何度も顔を出し、客の入りや接客の様子を調べ上げた。こうして積み重ねた事業評価を基に、社内稟議(りんぎ)を約四カ月かけてまとめた。

 広瀬支店長の「本気」が伝わり、常盤堂は提案を受けることにした。「朝日さんのおかげで金利負担が減り、身軽になれた。弱点も分かってもらった上で、親身になってくれた」と中村次長は振り返る。

 こうした足を使い、経営者の顔を見ながら融資先の事業評価を進める手法を、朝日信金は数十年も前から続けているという。財務内容を点数化するだけでは、顧客の姿は捉えられないからだ。

 橋本宏理事長(70)は「これからも一件一件を深掘りし、それぞれの課題に寄り添った提案を地道に続けていきたい」と語る。

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◆理事長のひと言

 東京の下町といえる地域を基盤としており、中小零細の取引先が多い。顧客層は浅草の老舗から秋葉原のITベンチャーまで幅広い。こちらも、昔ながらの足を使った営業は守りつつ、人工知能(AI)を事務手続きの確認業務に取り入れるなど、時代に合った対応にも力を入れ、地域から真に必要とされる金融機関を目指したい。 (橋本宏理事長)

 

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