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【探訪 都の企業】

<信金編>【6】青梅信金(青梅市) 森林生かす夢を育てる

地域の豊かな自然をアピールする青梅信金の平岡治房理事長=東京都青梅市で

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 受け取ったヒノキ製の花器は、すがすがしい香りがした。「これからも若い力で青梅を盛り上げてください」。青梅信用金庫経営企画課の本橋大輔さん(38)は若い家具職人をねぎらった。

 青梅信金は二〇一五年から、インターネットで小口資金を募る「クラウドファンディング」のサービスを、地元の運送業者と連携して運営している。通常の融資では対応できない資金需要に応え、地域の活性化を支援するのが狙いだ。

 家具メーカーに勤める青梅市の吉野知喜(ともよし)さん(27)は一五年九月、地元産のヒノキを活用した家具を作るという企画で、このサービスを利用した。

 東京都の総面積の約四割を占める森林。青梅市など東京都西多摩地区にはその七割が集中し、住宅用の木材の産地となっている。しかし、安い海外産に押されて国内の林業は衰退傾向にあり、新たな需要の掘り起こしが課題となっている。

 吉野さんの実家も、明治時代から青梅市で材木業を営んでいたが、祖父の代で廃業した。「幼いころから親しんできた木材で家具を作り、その魅力を広く知ってもらいたい」。いずれは家具職人として独立することを目標にしており、今回は夢への第一歩だ。

 二カ月を経て、集まった資金は二十八人から計三十九万二千円で、無事に目標を達成した。出資額に応じてヒノキで作った靴べらや時計台などを届け、青梅信金の本橋さんには花を生ける花器を贈った。吉野さんは「若い自分一人では難しかった。信金さんの人脈やノウハウが心強かった」と話す。

 青梅信金の地盤である多摩川の流域は、自然に囲まれ、高齢化や人口減少に悩まされている地域。流域の企業や自治体、住民らの広域連携を進める「美しい多摩川フォーラム」の取り組みに力を入れる。平岡治房(はるふさ)理事長(58)は「都心から一時間でこれだけ豊かな自然がある。その魅力を生かしたい」と語る。 =おわり

 (この連載は渥美龍太、矢野修平が担当しました)

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◆理事長のひと言

 二〇二二年に創立百周年を迎える。どことも合併せず単独でやってこられたのは、地域の皆さまからの信頼あってこそだ。町で買い物をしていたら、自分の新入社員時代のお客さまから何十年ぶりに声を掛けられることもある。信用金庫は地域の一員。信頼を失うような仕事はできない。これからも地域と共に悩み、考え、行動し、地域の発展に少しでも貢献していきたい。(平岡治房理事長)

 

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