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【余震頻発 備え万全に】

 東日本大震災から1カ月以上がすぎても余震が収まらない。マグニチュード(M)7級の余震が、年内にあと数回起きるという予測もあるので、注意が必要だ。「地震酔い」に悩まされている人は、気持ちを落ち着かせてリフレッシュを。緊急地震速報が出ても、首都圏ではあまり揺れないこともあるが、油断は禁物だ。地震に対して万全の備えをしたい。

<なぜ起きる>M7級 年数回指摘も

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 Q 東日本大震災の余震が続き、首都圏でも毎日のように揺れて落ち着かない。

 A 気象庁のまとめによると、東日本大震災後のM5以上の余震は、震災発生から35日目となる14日午後3時までで494回に上る。

 Q なぜ余震が多いのか。

 A 震災がM9と地震の規模がとても大きかったからだ。2003年の十勝沖地震(M8・0)のM5以上の余震は発生後40日目の時点で44回だった。

 マグニチュードが1大きくなると、エネルギーは32倍となり、地震が起きる断層の面積はおよそ10倍になると考えられる。それで余震の回数も10倍となっている。

 Q そもそも余震はなぜ起きる。

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 A 今回の地震は、海側の太平洋プレート(岩板)の沈降にひきずり込まれていた陸側のプレートのひずみが限界に達し、先端が跳ね上がることで発生した。すべり残っていた部分などがすべることで余震が起きる。ただし気象庁は今回、もう少し広い意味で余震を数えている。

 Q 広い意味の余震とは。

 A 地震の発生したプレートの境界面の近くで影響を受けた別の断層の地震も、広い意味での余震として数えている。厳密に分けるのが難しいからだ。東西約300キロ、南北約500キロを便宜的に余震活動地域としてとらえている。

 Q 3月12日の長野県北部や、同15日の静岡県東部で起きた地震も余震か。

 A 余震活動地域から外れているので、気象庁は余震に数えていない。しかし、震災で東日本の地殻が大きくずれ動いたことが引き金となり、ほかの場所でも地震活動が活発になっているとは考えられる。

 Q 余震はいつまで続くのか。

 A 起こる回数は徐々に減っていくが、M7クラスの余震が年内にあと数回、来年1〜2回起きる可能性があると指摘する専門家もいる。首都圏でも備えが必要だ。

<緊急地震速報>震度4以上 地域対象

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 Q 緊急地震速報が頻繁に出るが、どのような仕組みか。

 A 地震が起きると、地震計が初期微動を観測する。観測結果が気象庁に伝わると、地震の大きさや揺れの到達時間を解析。最大震度が5弱以上と予測される地震の場合、震度4以上と予測される地域を速報で示す。

 Q 地震の検知から速報までの時間は。

 A 地震計から気象庁への初期微動のデータの伝達は1秒程度。気象庁がテレビ局や携帯電話会社、病院、学校などへ速報を伝えるまでの時間は通常、数秒から十数秒だが、1分近くかかったこともある。市民がテレビや携帯電話で速報を知るまでには、さらに1〜数秒かかる。

 Q 速報が出てから揺れるまでの時間は。

 A 数秒から十数秒とされる。震源からの距離が近いほど、初期微動と揺れの到達時間との差は短い。直下型地震では速報の前に揺れるので、速報を過信してはいけない。

 Q 速報が出たらどうする。

 A 室内にいる時は丈夫な机の下などに隠れるとよい。屋外ではガラスの落下に備え、ビルの壁から離れる。揺れが来なくても、1分程度は警戒する。

 Q 速報はいつから始まったの。

 A 阪神・淡路大震災を受けて地震計の整備が進んだので、2007年10月から運用できるようになった。地震計は全国約1000カ所の地上や地中100〜3500メートルに、約20キロ間隔で設置されている。

 Q 速報の精度は。

 A 東日本大震災が起きて14日午後5時までに、速報は62回出たが、基準に当てはまらない震度4以下が37回あった。気象庁は、震災や停電で一部の地震計が使えなくなったことや、同時に発生した地震を一つの地震と認識したことなどが原因と説明している。現在の技術では、震度1程度の誤差は避けられないようだ。

 Q 携帯電話で速報を受けるにはどうするのか。

 A 速報を受けるための設定が必要だ。ドコモとauの新型機種のほぼすべてが受けられるが、ソフトバンクは一機種のみの対応だ。スマートフォンは速報ソフトをダウンロードできる。

<地震酔い>揺れの記憶リセットできず リラックス心掛けて

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 地震が起きていないのに、揺れを錯覚するのが「地震酔い」だ。耳鼻咽喉科を受診する人が増えているが、病気ではないので、医師らは「リラックスするよう心掛ければ改善」とアドバイスしている。

 船を降りて陸に上がった後、揺れが続いていると錯覚することを医学界では「下船病」と呼ぶ。気持ち悪くなったり、めまいを起こしたりもするが、病気ではない。地震酔いはこれに近い。

 人の平衡感覚をつかさどるのが、内耳にある三半規管と耳石器だ。この二つの器官が回転や傾きなどの揺れを感じ取り、目に見える実際の景色と併せて、脳が体のバランスを保つ。

 記憶がじゃまをしてバランスを崩すのが下船病だ。つまり、視覚の上では揺れていないのに、海上で揺れた記憶が脳に伝わり、揺れていないのに揺れたように感じてしまう。

 地震酔いになるのは、東日本大震災のように、強い揺れが長く続いた場合に多い。揺れが収まっても、平衡感覚のバランスを欠き、揺れの感覚が残ることがある。通常は数分から2日で収まるが、余震が頻発していると、脳が揺れの記憶をリセットできないことがある。

 聖マリアンナ医科大病院耳鼻咽喉科の肥塚(こいづか)泉教授によると、東日本大震災発生後、「まだ揺れているようで気持ち悪い」「めまいでフラフラする」との相談が多く寄せられているという。

 対処法は、▽前向きな気持ちを心掛けリラックスする▽散歩や体操で体を動かす▽ストレスをためない−など。家に閉じこもり、余震の恐怖に極度におびえると、症状の改善を妨げるという。

 肥塚教授は「地震酔いは生理的な反応だ。乗り物酔いをしやすい人に表れやすいが、酔い止め薬は効かない」と説明。「治療の必要はないが、長引く場合は別の病気が疑われる」と受診を勧めている。