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【東日本大震災3年】

震災関連死 認定に差

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 福島で突出して増え続ける東日本大震災の震災関連死。本紙の取材では、このうち少なくとも六割は原発避難に伴う「原発関連死」で、県外避難も余儀なくされた原子力災害の特殊性が浮かび上がる。一方で関連死の少ない宮城、岩手では認定の壁の厚さが問題とされる事例もある。避難生活の長期化で、制度のほころびもあらわとなっている。 (飯田孝幸)

◆相次ぐ訴訟

 災害弔慰金制度に基づく市町村の審査で、震災関連死と認められず、納得がいかない遺族からの訴訟が各地で起きている。

 震災から四カ月半後の二〇一一年七月二十九日、宮城県亘理町で七十六歳の女性が肺炎で死亡した。遺族は関連死の申請をしたが、震災から三カ月以上たってから肺炎を発症していることなどから、因果関係はないと判断された。遺族は今年一月、認定を求めて仙台地裁に提訴した。

 遺族の代理人である宇都彰浩弁護士は、「震災後、避難所生活で食欲不振になった」「食欲不振が続き体力が落ちて悪化」と記載された診断書を示しながら、「こんなのどうみたって関連死」と憤る。遺族にとっては、震災で亡くなったと納得することが、再出発につながるという。

ばらつき

 震災から時間がたつにつれ、被災三県の認定率には差が出てきている。復興庁がまとめた昨年九月までの認定率は福島84%、宮城75%だが、岩手は57%にとどまる。死亡時期別では、震災から六カ月を超えて認定された人の割合は福島38%、岩手12%、宮城4%だった。

 どういう条件が満たされれば「因果関係がある」といえるのか。震災後、内閣府は三県から統一基準を求められたが「柔軟な対応ができなくなる」として示さなかった。震災翌月、〇四年の新潟県中越地震で長岡市がつくった認定基準を被災自治体に参考として配布しただけだ。ここでは「震災から死亡まで六カ月以上経過している場合、関連死でないと推定する」などとされる。

 独自の認定基準をつくった岩手県の担当者は「国は基準を示してほしかった」と話す。逆に福島の担当者は「原発事故という特殊な事情があり、結果的には統一基準はなくてよかった」。岩手県山田町で審査会の委員を務めた小口幸人弁護士は「福島の認定率が高いのは、原発事故という現実に『長岡基準』が役に立たないことがみんな分かっていたから」と分析する。

先の見えない避難生活が続く=福島県二本松市で

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遅れる支援

 そもそも震災関連死が長期化するのは、被災者の生活再建のめどが立たないためだ。本来は、これ以上関連死を拡大しないよう、被災者支援を充実させる必要がある。

 実は震災前に、被災者生活再建支援法の住宅建設支援金の支給上限を上げることなどの検討が始まっていた。内閣府の有識者検討会は二〇一一年二月に初会合を開いたが、震災で一時中断。同年十二月にようやく再開した。検討会が一年前にまとめた中間報告は「災害の発生ごとに個別的、後追い的に実施されている」と指摘するものの、具体的な方針が打ち出されるのはまだ先だ。

 岩手県大槌町などで住民の心と体の健康調査を続けている岩手看護短大の鈴木るり子教授は「被災者の健康は一年目より二年目の調査の方が悪化している。一番大きいのは生活のめどが立たないこと」と国の対策の遅れに憤る。

 災害弔慰金制度 災害で直接死した人と関連死と認定された人の遺族に、500万円を上限に弔慰金が支払われる。市町村と県が4分の1ずつ負担し、残りは国の負担。関連死の認定や弔慰金の支払いは市町村の事務で、本来は金額も市町村が条例で決められ、災害と死亡の因果関係の判定も市町村に委ねられている。しかし、実質的には金額や手続きは横並びで運用されており、認定基準だけが市町村で異なることには「公平性の観点から問題」という指摘もある。

 

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