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【南海トラフ巨大地震】

命を守ること最優先 10メートル超津波5都県に
南海トラフ地震想定の報告書要旨

 内閣府が公表した南海トラフの巨大地震による津波高と浸水域、被害想定の要旨は次の通り。

◆基本的考え方

 最新の科学的知見に基づき発生する最大クラスの地震、津波を推計。現在の研究レベルで発生時期は予測できないが、発生確率は極めて低い。

 東日本大震災の教訓から、命を守ることを最優先とする。最大クラスの津波の高さや到達時間が避難するには厳しいとして避難をあきらめることは最も避けなければならない。「強い揺れが起きたら逃げる」ということを認識し、あえて言えば正しく恐れてほしい。

◆津波高・浸水域

 十メートル四方単位で津波の浸水域・浸水深を推計。最大津波高を市区町村ごとに沿岸の総延長で平均化した値も示した。

 駿河湾から紀伊半島沖を中心に大津波が起きるケースでは、津波高の平均値が五メートル以上と想定されるのは十三都県の百二十四市区町村、十メートル以上と想定されるのは五都県の二十一市区町村。最大は高知県黒潮町の十九メートル。

 駿河湾の沿岸地域では地震発生から数分後には五メートルを超える大きな津波が襲来し、高知県などでは五〜十メートルを超える大きな津波は地震発生から二十〜三十分後となる。伊勢湾や大阪湾の奥に津波が襲来するのは一時間から一時間半ぐらい後になる。第一波だけでなく、五、六時間から半日程度は繰り返し大きな津波が襲来するため警戒が必要。

 深さ一センチ以上の浸水域は二十四都府県の千十五平方キロで、東日本大震災の浸水域(五百六十一平方キロ)の一・八倍。このうち津波に巻き込まれた場合にほぼ全員が死亡する深さ一メートル以上の浸水域は六百二平方キロ。

 震度分布は二百五十メートル四方単位で推計。震度の最大値の分布図とした。

◆被害想定

 東海地方、近畿地方、四国地方、九州地方のそれぞれで大きな被害が想定される四ケースについて推計した。

 三種類の時間帯を次のように設定。多くの人が自宅で就寝中に被災する「冬・深夜」、木造建築物内の滞留人口が一日の中で少ない「夏・昼」、火気使用が最も多い「冬・夕方」。

 火災による被害は、平均風速(三メートル)と風速八メートルの二つを設定し、三種類の時間帯と併せて六つのケースで想定した。

 全壊・焼失する建物総数は、風速八メートルの冬の午後六時に最大級の地震が発生し、四国沖から九州沖を中心に大津波が起きるケースが最多で二百三十八万六千棟。内訳は、揺れによる全壊数が百三十四万六千棟、火災が七十四万六千棟など。

 東海地方を中心に被害があった場合の全国の全壊・焼失棟数は九十五万四千〜二百三十八万二千棟。死者八万〜三十二万三千人。負傷者は最大六十二万三千人。

 最大の場合は三十都府県で死者が発生する。静岡十万九千人、三重四万三千人、和歌山三万五千人、宮崎三万四千人などで、原因別では津波が約七割の二十三万人、建物の倒壊が八万二千人など。ただ、地震発生直後に避難する人が二割にとどまる前提で、早期の避難や対策の徹底で八割減らせる。このケースで全壊・焼失する建物は百八十二万三千棟。水門が機能しない場合は死者が二万三千人増える。

 近畿地方を中心に被害があった場合の全国の全壊・焼失棟数は九十五万一千〜二百三十七万一千棟。死者五万〜二十七万五千人。

 四国地方を中心に被害があった場合の全国の全壊・焼失棟数は九十四万〜二百三十六万四千棟。死者三万二千〜二十二万六千人。

 九州地方を中心に被害があった場合の全国の全壊・焼失棟数は九十六万五千〜二百三十八万六千棟。死者三万二千〜二十二万九千人。

写真

 <算定手法> 東日本大震災を含めたデータを反映させた。建物被害は建築された時期による被害の違いを反映、液状化による建物被害は液状化による地盤沈下量と全壊率との関係から推計した。津波による人的被害は、避難開始タイミングと津波到達時間の関係から推計する手法を新たに採用した。

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