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【南海トラフ巨大地震】

首都圏 避難受け入れ態勢まだ

東日本大震災で、被災地から東京都内の避難所に身を寄せた避難者=2011年3月20日、東京都足立区の東京武道館で

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 南海トラフ巨大地震による避難者を最大九百五十万人と発表した内閣府の想定。避難所に逃れる人だけでも五百万人に上り、東日本大震災の十倍を超す。甚大な被害を受ける中部以西から、比較的被害が少ない首都圏に、大勢の人が移動してくる可能性もあるが、広域避難者受け入れの検討は進んでいない。(安藤恭子、新開浩)

 「ものすごい数だ。このうちどれほどの避難者が東京に押し寄せるのか、想像できない」。都総合防災部の担当者はうなった。

 東日本大震災では、原発事故や津波被害の影響で多くの人が県外へ転じた。一カ月後の首都圏への避難者は本紙調べで一万一千人に上った。

 内閣府は、避難を決める大きな理由に断水を挙げる。最大で県民の三分の一にあたる百二十万人の避難者が想定される静岡県は発生直後の断水人口が九割に達し、一週間後も半分以上で復旧しない。水を求める避難者は断水率の低い首都圏に流れる可能性がある。

 静岡県危機政策課は「全県が壊滅的な被害を受ければ、避難所も不足する。県東部を中心に、首都圏に受け入れを要請することもあり得る」と話す。

 東日本大震災で避難者受け入れが遅れ、自治体が行き先を把握できなかった反省を踏まえ、国は自治体が広域避難者を一時的に受け入れる仕組みづくりを検討。昨年六月改正の災害対策基本法で、被災自治体が要請した場合、他自治体は原則避難者を受け入れなければならないと定めた。

 だが、関東都県の動きは鈍い。

 東京都は広域受け入れの課題は認識しつつも、検討には至っていない。都は東日本大震災で一万人規模の避難所を確保。東京武道館(足立区)では畳を敷いて都外から受け入れたが、一時はほぼ満床に。他の施設を追加開放するなど急な対応となった。

 都が想定する首都直下地震では、都内の最大避難者を三百三十九万人と見込み、うち二百二十万人が区市町村が設置する避難所に逃れるとされる。現在の収容枠は三百三十六万人あり、南海トラフで都外避難者の受け入れも可能にみえるが、担当者は「都内の被害が軽微ならいいが、避難所の受け入れはあくまで都民優先。被害状況をみないと、受け入れ可能か判断できない」と話す。

 神奈川県は「南海トラフ地震の直後は、各県内の内陸部に避難するのでは。県境を越えて大挙して来るとは考えられない」と、広域避難者の受け入れは想定していない。

 これに対し、埼玉県は震災後に見直した地域防災計画で、避難者がコミュニティーを維持できるよう、千人程度が長期間生活できる避難所の選定や、市町村の避難所で県外からの人も一緒に受け入れる仕組みを定めた。

 背景には原発が立地する福島県双葉町から集団避難を受け入れた教訓がある。埼玉県内各地の公民館を開放するなどしたが、当初は対応が混乱。「事前に避難所を決めてあれば、県外から来ても速やかに案内できる」(消防防災課)という。

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