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【南海トラフ巨大地震】

南海トラフ巨大地震対策の最終報告(要旨)

南海トラフ巨大地震による都道府県別の被害想定(画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます。)

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 【巨大地震】超広域で強い揺れと巨大な津波が起こる。東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が発生し、国難ともいえる巨大災害になる。復興が長期化すれば国としての存立に関わる。

▽対策の基本的方向

 【津波】目標は「命を守る」。住民一人一人が主体的に迅速に避難することが最も重要。即座に安全な場所に避難できるよう地域ごとにあらゆる手段を講じる。

 【減災・復旧】被害を減らすため、建物の耐震化や揺れに伴う火災への事前防災が極めて重要。ライフラインやインフラの早期復旧がすべての応急対策の前提。

 【超広域の被害への対応】従来の応急対策や支援システムが機能しない。日本全体として連携の枠組みが必要。避難所不足が想定され、収容する避難者の「トリアージ」や、住宅被害が軽微な被災者は自宅にとどまるよう誘導することを検討する。水や食料など一週間分以上を家庭で備蓄、地域で自活する備えが重要。交通が復旧すれば被災地外への疎開も検討する。

 【経済影響】企業は災害時の事業継続計画をつくり、流通拠点の複数化や重要データの分散管理など対策を取ることが重要。企業間や業種を超えた連携も検討。海外への的確な情報発信の備えを構築。

 【連続発生】地震が時間差をおいて連続するシナリオを検討し、臨機応変に対応できるよう応急活動や避難生活者の保護に備える。

 【インフラ】千年に一度またはそれ以下の頻度で起きる巨大地震・津波をすべての対策の前提とするのは現実的ではない。津波対策はマグニチュード(M)8級を対象として防波堤などを整備するが、それを超す場合に備えた構造強化も重要。「命を守る」ことを目標として住民避難を軸に、情報伝達、避難施設、避難路、土地利用などハード、ソフト対策を総動員する。揺れ対策は、施設ごとに耐震化に着実に取り組む。長周期地震動や液状化への新たな対応も検討。

▽枠組み

 【体系作り】対策推進の法的枠組みを確立。巨大地震対策のマスタープラン策定とともに、事前防災戦略として目標や達成時期を示したプログラムを明示。応急対策の具体的な活動計画を策定。避難施設、避難路を整備するため必要な財政上、税制上の措置を検討。

 【組織整備】国や自治体、民間が広域連携する南海トラフ巨大地震対策協議会を活用、法制化を検討する。

 【戦略的取り組み】府省を超えた産学官民の連携が必要。防災学習や、国や自治体の防災担当職員の人材育成。

 【科学的知見】地震津波の分野だけでなく、まちづくりや過去の地震被害の伝承などさまざまな学問分野と連携。防災技術の開発普及。

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▽主な実施すべき対策

 【重要施設】地震発生時に重要な役割を担う役場や学校、病院などの施設の津波対策を推進し、配置を見直す。特に緊要度が高い施設は移転の計画的な実施を図る。

 【高台移転】避難が困難な地域では住民に合意がある場合、高台などへの集団移転も有効。

 【港湾】東京湾、伊勢湾、大阪湾の港ではM8級を超える津波を想定した対策を検討。

 【津波避難】沿岸市町村は都府県の津波浸水想定や市町村地域防災計画を踏まえ津波ハザードマップの作製、見直し、周知を進める。公共用地や国有財産も有効利用し避難場所、避難施設を整備。津波避難ビルを増やすため建ぺい率緩和や民間活力導入に取り組む。

 【災害時要援護者】自力で避難が困難な高齢者や障害者の名簿を作成、地域で助け合い、適切な支援を行う。

 【生活物資】自治体は事業者と連携、輸送拠点から避難所に物資を送る手段を検討する。買い占めが起こらないよう適切な情報提供も重要。

 【医療】被災地の医療機能を確保するため、移動式救護施設を用いた野外病院開設を検討。

 【ボランティア】地域のボランティア活動が住民や医療機関と日常的につながりを持つことが重要。国や自治体は、国民的な運動となるよう支援する。

 【帰宅困難者】駅や路上に膨大な人々が滞留する事態は危険。「むやみに帰宅しない」原則を周知、家族との安否確認手段を準備。

◆水、レトルト、カセットこんろ… 新規購入1人25000円

 被災地への支援に時間がかかるとして、南海トラフ巨大地震対策の最終報告は家庭に一週間以上の備蓄を求めた。これまで国が目安としていた三日分の二倍以上。どれほどの量か集めてみた。

 まずペットボトルの水。大人は一日に二〜三リットル必要とされ、多めにみると一週間分で二十一リットル備蓄しなければならない。二リットル入りボトル十本、一リットル入り一本で、保管にはややかさばる。

 そして食料。生活雑貨を扱う東急ハンズ新宿店(東京)の防災用品コーナーには、水や湯を入れるだけで食べられるチャーハン、山菜おこわなど多様な非常食が並んでいた。発熱剤で温めて食べられる牛丼、ビビンバもあった。パンの缶詰も入れて一週間分は大きな買い物袋いっぱいになる。

 最終報告は、カセットこんろや、簡易トイレ、電池、携帯電話充電器の備えも求めている。水、食料を含めて全部を新しく買うと一人当たり約二万五千円になる計算だ。

 レトルト食品や缶詰などを多めに購入、食べたら補充して一定の備蓄を確保する「ローリングストック」という方法もある。八日分(二十四食)の保存食を半月に一食ずつ順番に食べれば、一年後にはすべての備蓄が入れ替わる。賞味期限切れを防ぐためにも有効だ。

 楽しみながら学べる防災プログラムの普及活動をしているNPO法人「プラス・アーツ」の村上彩さんは「非常時だからこそ食べ慣れたものを利用した方が、不安や緊張を和らげられる」と指摘している。

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