東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > アーカイブ2008 > 天空への挑戦−東京スカイツリー着工へ− > 記事

ここから本文

【天空への挑戦−東京スカイツリー着工へ−】

<5>地元の期待と不安 観光の街づくり模索

2008年6月29日

おかみを務める老舗料亭前で「タワー観光の方に、向島まで足を延ばしていただきたい」と語る雨宮加主子さん=東京都墨田区向島で

写真

 東京スカイツリー建設地の北側、東京・向島の花柳街。最盛期には約二百軒あった料亭は、バブル崩壊や官官接待への批判などを受け十六軒に激減。マンションなどに変わりつつある。

 「新タワーの建設は(復活の)チャンス」と、向島料亭街を束ねる向嶋墨堤組合の雨宮加主子(かずこ)組合長(65)。かつては一見さんお断りという敷居の高い街だったが、「料亭らしさを守りながら、観光客向けに料金や昼間営業などの情報をホームページで紹介するなど分かりやすくしたい」。この街に生まれた雨宮さん。「料亭は、江戸時代から受け継がれた日本にしかないサービス。料亭文化を守り続けなければ」と話す。

 地元住民らが昨年つくった「向島町おこしの会」は今春、同組合と協力してお座敷芸の鑑賞会を開催。「これが好評だった。十月には第二弾です」と、阿久津浩孝会長(46)は意気込む。

 行政も本腰を入れ始めた。新タワーの地元・東京都墨田区は今春、担当課名をズバリ「観光課」にして拡充。推定五百万人という新タワーへの年間観光客を当て込み、国際的評価の高い地元出身の浮世絵師、葛飾北斎の「北斎館」建設を計画中だ。高野祐次課長は「アピールが苦手だった墨田の魅力を掘り起こしたい」と話す。

 タワーの誘致合戦に敗れた隣の台東区。浅草、上野という観光スポットを抱えるだけに、今は隅田川を挟んで連携ムードが高まりつつある。両区の商店街連合会は連絡協議会を結成。新タワーの集客力に熱視線を注ぐ。

 一方で建設工事車両による渋滞や事故など、不安の声も大きくなっている。墨田区在住のフリーライター網代太郎さんは、タワーからの電磁波が人体に及ぼす影響や景観がもたらす圧迫感への懸念を訴え続けている。タワー開業で地元商店街が寂れる、と心配する店主もいる。

 中小の工場が多い墨田区は、ものづくりの街として歩んできた。観光の街づくりをどう進めるか、模索は始まったばかりだ。

 建設中の東京タワー周辺の街と昭和の人々を描いて人気を集めた映画「ALWAYS 三丁目の夕日」。墨田区押上一丁目町会の北村真一会長(73)は「今度はこの押上が舞台になるんですね」と目を輝かせた。

 天空へと伸びるタワーは平成の希望となるのか。地元にとっての挑戦も始まる。

=終わり(したまち支局・藤原哲也、小林由比、増田恵美子が担当しました)

 

この記事を印刷する



ピックアップ
Recommended by