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【公共事業を問う】

建設弘済会 業者排除し民業拡大 受注実績要件 公募入札、形ばかり

2010年3月14日

 ダム巡視や道路パトロールなどの業務を独占的に受注し、多額の利益をため込んでいた全国八つの社団法人「建設弘済会(協会)」。河川美化や防災などの公益事業が本来の目的だが、工事設計から駐車場経営、物品販売と、多くの“収益”事業に業務を拡大。中央・地方の国土交通省OBの最大の受け皿になってきた。契約の見直しでも抜け穴が露呈。民業圧迫や高コスト批判が出ている。 (北川成史)

 東京都北区の荒川河川敷。「巡視中」のステッカーを張ったバイクが走る。関東地方整備局が発注した荒川下流の巡視業務。巡視員は時折、岸の浸食などを確認する。関東建設弘済会(さいたま市)が昨年、二千二百万円で落札した。

 「民間でもできる仕事なのに…」。昨年、三件の河川巡視業務の入札に参加した関東地方の測量会社の幹部はうらめしそうに話す。

 この会社は三件とも弘済会より低い価格で入札したが、落札したのは弘済会だった。価格だけでなく総合的に評価する入札方式だったが、幹部は「価格以外をどう評価したのか。納得できない」と割り切れない様子だ。

 各省庁と天下り法人との不透明な随意契約に批判が強まり、国交省は二〇〇七年度から弘済会以外の受注希望者も募った上で、選定する「公募方式」を導入。だが、過去の受注実績を応募要件に加えたため、大半の民間業者は応募できず、事実上の門前払いに。

 〇八年度からは企画・提案能力を競わせる「企画競争(プロポーザル)方式」を導入した。だが、昨年の事業仕分けでは、〇八年度に全国八つの弘済会や協会が受注した河川の巡視・点検など業務四百八十八件(八十七億円)のうち、九割の四百三十七件までが八法人による「一者応募」だったことが問題視され、「高コストを招く」と批判を浴びた。

 同省が、価格と企画提案の両面から判断する「総合評価方式」を本格的に導入したのは昨年四月から。しかし、八法人優位の傾向は続く。

 〇八年四月には道路財源の無駄遣い批判を受けた国交省の最終報告で、八法人は一〇年度中に一般社団法人化する方針が示された。一般社団法人になれば、これまでの社団法人よりも税制面での優遇措置が少なくなる。

 この最終報告は自民党政権時代にまとめられたものだが、国交省地方課は「現在も一般社団法人化の方針は変わっていないが、今後の事業仕分けで、どうなるか分からない」としている。

 

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