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【どうなった?ニュースその後】

園児らの列に車 21人死傷事故(埼玉県川口市) 生活道路の制限速度規制

2009年11月3日

事故が起きた市道。事故当時速度規制はなかったが、現在は30キロに規制され、路側帯が緑色に塗装されている

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 二〇〇六年九月、埼玉県川口市の住宅街で、道路左端を一列になって歩いていた保育園児らの列に脇見運転のライトバンが突っ込み、四人が死亡、十七人が重軽傷を負う惨事となった。痛ましい事故を教訓に、現場周辺では行政と警察が、生活道路の制限速度を時速三十キロに規制するなど、再発防止に向けた動きが広がっている。

 現場は幅六メートルの歩道のない生活道路。近くで自営業を営む男性(38)は「混雑する大通りの抜け道になっていて、高速で走る車が多い。通学路で歩行者も多く、危ないと思うことがよくある」と話す。

 事故を起こしたライトバンもその一台。運転していた男(41)に対する裁判の判決によると、事故当時の速度は時速五十〜五十五キロだった。遺族らは捜査当局に対し、男に最高刑が懲役二十年の危険運転致死傷罪を適用するよう求めた。しかし、当時現場には個別の速度規制がなく、法定速度は時速六十キロ。男の運転は速度超過にはならず、業務上過失致死傷罪で懲役五年にとどまった。

 この事故を機に「同市内の生活道路に時速三十キロの速度規制を」という機運が高まり、県公安委員会が〇六年十一月、現場から半径約五百メートル以内の生活道路の制限速度を、一律時速三十キロに規制した。同市は〇七年六月、さらに規制範囲を広げるため、市長権限で生活道路の最高速度を規制できるよう国に構造改革特区申請した。

 しかし、「他の道路との整合性に問題がある」として却下され、今年八月からは県警と協力して各市道の実態を調査。規制権限のある県公安委員会に、市内全域の生活道路における速度規制の必要性を訴える方針だ。

 同市交通安全対策課によると、対象となるのは市内の百八十四町会から要望があった二百七十五路線、総延長約七十五キロ。市の担当者と警察官が現地で設備を確認したり、付近住民と意見交換したりしている。

 県警交通規制課によると「市を挙げて一斉に、というのは極めて異例」という。調査結果を基に規制の可否を検討し、県公安委員会から認められた路線は、来年四月ごろから時速三十キロに規制していく予定だ。

 埼玉大学大学院理工学研究科の久保田尚教授(交通政策)は「速度制限の標識を設置することで道路の雰囲気が変わり、ドライバーへの注意喚起の効果が期待できる」と効果を説明する。

 同時に道路設備も改善。同市では現場付近の路面に、注意喚起と速度抑制の効果がある赤茶色の舗装を施し、路側帯は歩行スペース確保のため緑色に塗装した。他の路線でも市民らの要望に応じて、ハンプと呼ばれる路面の起伏などの設置を検討していくという。

 県警幹部は「資金や隣接市の規制との兼ね合いもあるが、事故防止に向け警察と行政が一体となって取り組まなければならない」と話している。 (小沢誠介)

あのとき

 二〇〇六年九月二十五日午前九時五十五分ごろ、埼玉県川口市戸塚東二の市道で、保育園児らの列に後方からライトバンが突っ込み、三〜五歳の女児四人が死亡、園児や保育士十七人が重軽傷を負った。ライトバンを運転していた男(41)は〇七年三月、業務上過失致死傷罪で最も重い懲役五年が確定。遺族らは同罪の量刑が軽すぎるとして署名活動を行い、刑法に自動車運転過失致死傷罪(最高刑懲役七年)が新設されるきっかけとなった。

 

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