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【どうなった?ニュースその後】

『ぐんま国際アカデミー』開校5年目(群馬県太田市) 高等部開校控え、不安も

2009年12月1日

「EnglishZone(日本語禁止)」の張り紙が掲げられた上級生の校舎=群馬県太田市のぐんま国際アカデミーで

写真

 「one(ワン)、two(ツー)、three(スリー)、four(フォー)−」

 英語を学ぶのでなく英語で学ぶ−。こうした理念を掲げて誕生した「ぐんま国際アカデミー(GKA)」。開校から五年目を迎えた二学期のある日、同校を訪ねると、運動着姿の子どもたちが校庭で英語で数を数えながら体操していた。

 校舎内を歩くと、聞こえるのはほぼ英語だけ。国語と社会以外の授業は英語で行われている。理科の授業では、子どもが先生と自然に英語で話しながら実験器具を操作していた。上級生の校舎の廊下には「English Zone(日本語禁止)」の張り紙。日本語をまったく使わないというほど徹底はされていないが、英語力は確実に上がっているという。

 「高校卒業程度」が目安の英検二級や準二級の合格者が初等部(小学校)四年生から出ている。開校準備から学校運営に携わる井上春樹副校長は「予想どおりの成果です」と自信を見せる。

 開校当初、有識者から「日本語で教えても難しいのに、英語で教えれば学力は低下する」という心配の声が出た。同校によると、今のところ深刻な事態はなく、むしろ、中等部(中学校)進級にあたり、数人の生徒が都内の有名中学に進学。学校としては生徒が奪われてつらい面もあるが、学力低下への懸念は払拭(ふっしょく)した。

 「公費を使ったエリート教育」という批判もあったが、徐々に公費依存から脱却。太田市は設立資金六億五千万円のほか、県がGKAへの私学助成を認めなかった二年間は、年数千万円の運営資金を提供した。しかし、二〇〇七年度に私学助成金が認められ、資金援助を中止。市が無償貸与していた校舎の土地も、昨年度から学校側が年間一千万円余りの賃貸料を支払っている。

 生徒募集も好調といい順風満帆のようだが、新たな課題も浮上。一一年度の高等部開校を控え、有名進学校に生徒が流れるのではないかという心配が出ている。大学受験など進路面で未知数の同校。建学精神の「国際的に活躍できるリーダー」を目指して引き続きGKAで学ぶのか。一定の英語力を習得したとして受験を重視して進学校に移るのか。生徒や保護者は難しい選択を迫られる。

 学校も高等部二年から英語以外の科目を日本語で行う「国内進学コース」を設けて受験に備える。井上副校長は「考える力を身に付けるためにも高等部の学習は有効」と言うが、今井優校長は「保護者の不安の原因は(GKAに進路について)実績がないこと」と苦しい心境をのぞかせる。こうした現場の不安に、GKAを運営する学校法人太田国際学園の渡辺浩理事長は「(現在最上級生の)中等部二年生が高等部に進み、その後どういう進路に行くのか。それが本当の正念場。ハーバード大学やケンブリッジ大学に合格する生徒が出れば、理解されるはず」と、あくまで建学精神を貫くとしている。 (加藤益丈)

あのとき

 二〇〇五年四月、小中高一貫の私立校「ぐんま国際アカデミー」は開校した。授業の大半を英語で行うために、教育課程の弾力化を求めて国の構造改革特区の認定を受けたが、規制緩和で特区は廃止。母国語以外の言語で授業を行い語学力を養う「イマージョン教育」を採用し注目されたが、小学生からの「英語漬け」授業に疑問の声も上がった。

 

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