つなぐ 希望の木
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【東京達人列伝】『ケア理容』育ての親 お年寄り、障害者への理髪 中戸川智恵さん2010年4月26日
お年寄りや体が不自由な人の髪を整える、専門技能と知識を備えた「東京ケア理容師」は現在、都内に約三千人。東京都理容生活衛生同業組合・東京ケア理容師プロジェクトチームのセクションチーフ中戸川智恵さん(44)は、資格認定に必要な同組合の講習を行っている。 二〇〇六年から同組合が本格スタートした資格だが、それに先駆け、独自の認定制度を始めたのが、同組合荒川支部。“発祥の地”である荒川区の、理容師の家に生まれた。新潟で髪を結っていた高祖父から数えて五代目だという。 再開発が進み高層住宅が林立する同区南千住八丁目に、曾祖父の代から受け継ぐ店がある。地域にはお年寄りも多く、一九九八年に店を改装、車いすでも入りやすいよう段差をなくした。その姿勢が、ケア理容“生みの親”で、現在は東京都理容生活衛生同業組合理事長を務める飛田英雄さん(58)=同区西日暮里=の目に留まった。 中戸川さんは、荒川支部で当時、高齢者への福祉理容のあり方を探る取り組みに参加。二〇〇三年、支部独自の「荒川ケア理容師」という認定制度を制定。のちの東京ケア理容師のもととなった。 ケア理容の技術の一つが、体勢保持。「いすにきちんと座る、首をまっすぐにする。これが、お年寄りにはつらい。腰にクッションを置いたり、手で支えながら顔そりをしたりと工夫します。車いすに乗ったまま、横たわらずに顔そりをする方法もあります」 自宅や老人施設への訪問理容もある。「寝たきりの人は、体をあまり動かさずに寝たまま髪を切る。水を使わないドライシャンプーも使います」。認知症などの知識も必要だ。 来店客の一割ほどがお年寄りなどケアが必要な人。障害のある子どもも、親同伴で来店する。体が不自由だったり、行動や情緒が不安定だったり。 「初めは戸惑いましたが、そうした子どもにもケア理容の知識や技術が生かせます」。その経験を「子どもへのケア理容〜見える障害、見えない障害」と題した論文にした。これが認められ、組合の専任講師となった。 同組合が作成したケア理容師のマニュアルを基に各地で講習を行うが、高齢者、障害者の状態はさまざま。マニュアルに頼らず、相手に応じた工夫が必要だ。「もともと理容師はお客さまに合わせて工夫をする仕事。よりユニバーサル(普遍的)なケア理容師になれるよう、工夫を重ねたい」 (榎本哲也) (「東京達人列伝」は今回で終わります)
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