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【彩の国 まつりごと】

【第十部】次への一歩<2> 嵐山町議会の挑戦

2011年10月27日

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 「私たちの住む嵐山町は、武蔵の国比企丘陵の中核にあって、緑豊かな山河に恵まれた、国蝶(ちょう)オオムラサキが舞う町です。この小さな町にも、近年地球温暖化の現象がみられるようになりました」

 こんな前文で始まる「緑と清流・オオムラサキが舞う嵐山町ストップ温暖化条例」が今年六月十日の町議会で、全会一致で可決された。「これまでの議員生活で一番頑張ったし、達成感があった」と、ベテラン町議が振り返る。政治倫理条例など議会や議員にかかわるものでなく、町の政策に関する条例が議員提案で成立するのは町村議会では珍しく、同町では初めて。町村レベルの温暖化対策条例は全国初だった。

 「地球温暖化対策に絞った条例を議会として制定したい」。二〇〇九年十月、文教厚生委(七人)の新委員が集まった席で、川口浩史議員(56)が言った。誰も政策条例をつくった経験はない。川口氏は「できなかったらできないでいいじゃないか」と、言葉を継いだ。「反対意見が出れば終わりだと思った」。だが、議会閉会中に取り組む案件としてすんなり決定。議員たちはまず、DVDを見て勉強を始める。“教材”は、ゴア元米副大統領の温暖化防止活動を追ったドキュメント映画「不都合な真実」だった。

 中高生も含めた企業や住民の意見交換会も八回やった。条例全体を「ですます調」にしたのは、ある中学生の「環境用語は難しくて分かりにくい」という発言がきっかけだった。

 「専門的知識を持つ外部からの助言が大きな力になった」と、委員長の渋谷登美子議員(60)は言う。ところが、町予算の議会費に講師謝礼を支出する項目がない。同町には、議会が外部の専門的知識を取り入れる仕組みがなかったのだ。議員たちは、月二千五百円の政務調査費から「割り勘」で出し合うことで、五万円の講師料を賄った。この反省から、町議会は九月補正予算で、議会費に「報償費」と「特定事件調査研究委託料」の項目を新たに設けた。

 議会は町執行部にも意見を求めた。簾藤(すとう)賢治環境農政課長は「町にできないことを定めて『絵に描いた餅』になっては意味がない。譲れない部分ははっきり言った」。岩沢勝町長(69)も「委員会は職員の体制や財政状況も考慮してくれた」と振り返る。

 渋谷氏は言う。

 「条例を作っておしまいではない。議会として町の取り組みをチェックしていく責任が生まれた、と思う」 (中里宏)

<嵐山町の温暖化防止条例> 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出量を削減し、町の自然環境を次世代に残すのが目的。町はCO2排出量の把握に努めて削減目標値を地域推進計画で定め、町民にも対策への協力を求める。議会が町長に対し、対策推進についての意見を述べることも定めた。太陽光など再生可能エネルギー導入促進も明記している。

 

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