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【スカイツリー成長記】

下町の自慢の子に

子どものころバレエを習った長命寺でツリーについて語る女優・木の実ナナさん(62)=墨田区向島で

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 これから三年近くかけて、東京の空が少しずつ、変わっていく。完成すれば六百十メートルと、世界有数の高さとなる東京スカイツリーの建設工事が墨田区押上で進む。街の人々の思いものせて空へと伸びるツリーの成長ぶりを月一回、紹介する。

 私は東京タワーが大好きですから、新しいタワーができる場所が自分の生まれ育った墨田区と聞いて、最初は「ええっ、なんで!」って驚きました。

 610メートルってすごい高さでしょう。子どものころ、メンコ、ベーゴマと地面ばかり見て遊んで、建物といえばせいぜい二階屋。下町の空を見上げるなんてなかったなぁ。それに「東京スカイツリー」っていう名前もまだ慣れなくて…。

 でも、故郷が縁日みたいなにぎわいを取り戻してくれるのなら、そりゃあうれしい。東京タワーのように愛され続けるように、まず下町の人たちが「自慢の子」って思えるツリーであってほしい。

建設が進む塔の中心部。直径約30メートル=3月2日、本社ヘリ「おおづる」から

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 私は終戦翌年の生まれです。向島の6畳1間に一家6人で暮らしてました。貧しかったけれど、皆輝いて生きていました。町内中が学校で社交場で、よく笑いよく泣いて…。今思えば演技の養成所だったかもしれません。女も男も粋でね。亡くなった吉行淳之介先生によく言われました。「いい所で育ててもらって、親に感謝しろ」って。

 3月が巡ってくると、東京大空襲を思います。「自分も経験したのでは」って思うくらい当時の話は聞かされてきました。祖父が逃げた防空壕(ごう)が焼かれて亡くなり、遅れた母や祖母が助かりました。あの戦争の痛みが忘れられ、冷たい世の中になってきているのではないでしょうか。下町のツリーは、江戸の人情味豊かで、元気のない人も元気になって帰れるようなツリーでありますように。

<工事メモ> 昨年7月14日に着工した地上デジタル放送用の電波塔、東京スカイツリーは現在地下工事を終えて地上工事に入り“芽生え”の段階だ。完成予定は2011年末で、開業予定は12年春。事業主は東武鉄道の子会社、東武タワースカイツリー社。施工は大林組。建設費は約650億円。

 文・藤原哲也/写真・笠原和則、川北真三、坂本亜由理

 

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