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【スカイツリー成長記】

伝統と親心 健在

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 浅草寺の境内にこいのぼりがはためく五月、先月の成長記では全長二十メートルで足踏みしていた東京スカイツリー(墨田区押上)が、十メートル余伸びた。今後はすくすく成長しそう。現場脇の道路には、フェンス越しに見学する人々の列。二〇一一年末の完成まで、飽きることのない“ショー”が続きそうだ。

 東京スカイツリーが建つ墨田区は、大相撲の“聖地”。両国国技館をはじめ、19の相撲部屋が集まっている。ツリー建設が進む押上に隣接する業平には大関魁皇が所属する友綱部屋。「新しい塔の足元に、古いしきたりの相撲部屋があるのも面白いでしょう」。友綱隆登(たかのり)親方(56)=写真=は笑顔を見せる。

 友綱親方は13歳のときからずっと、その古いしきたりの世界に身を置く。あらゆることを相撲から学んだという。

 スカウトされ、青森県から単身上京した当時すでに身長170センチ、体重約80キロの堂々たる体格。しかし入門して最初の秋、九州場所の最中に虫垂炎を患って入院した。退院後、一人で夜の列車に揺られて眺めた車窓の風景。「古里の家族を思い出した。あの時は寂しくてしんどかった」としみじみ語る。

 現役時代は関脇魁輝として活躍し、引退後友綱部屋を継いだ。15年ほど前、今の場所に部屋を移転。12人の力士を育てている。最年少は16歳。「残念ながら、すべての弟子が関取になれるわけではない。それでも力士になって良かったと思えるような修業をさせてあげたい」と親心をのぞかせる。

 ツリーが完成すれば新たな人の流れが生まれ、部屋を見学する人も増えそうだ。「けいこにも力が入るし、服装もきちんとするよう弟子に指導しなければ」。相撲漬け人生の親方のもと、ツリーとともに弟子たちも成長していく。

先月よりもクレーンが伸び、低層棟の建設も進んだ建設現場

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<工事メモ> 塔を支える3本脚の基礎が完成し、ツリーが伸び始めた。上部にいくにつれ塔断面が正三角形から円形に変わる珍しい構造で、組み上げる鉄骨も特殊仕様。さまざまな形の鉄骨が、毎日早朝に搬入されている。

 「今後は『継いでは溶接』を繰り返します」と大林組新タワー建設工事事務所の田渕成明・作業所長。GW中も1日しか休まず作業を進めているという。

 クレーンの上下や、溶接の火花が間近で見られる建設地の周辺では、フェンスに張りつく“ウオッチャー”たちの姿も。

 文・岡村淳司/写真・笠原和則

 

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