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【スカイツリー成長記】

お酒で地域つなぐ

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 東京スカイツリー建設地(墨田区押上)の約一キロ北、東向島二丁目にある「BAR Bee」。店主の山田隆之さん(42)は、祖父の代から商いをしている町が、世界最大級のタワー誕生を待つ中で変わっていくことを実感している。

 光を空に向けて放ち、六百メートルのタワーの高さを表現するプロジェクトが二年前、地元有志の手で行われた。「うちで仲間で飲んでる時に出てきたアイデアなんですよ」と山田さん。「目に見えないと、なんか信じられないっていうのが下町の人たち。でも今は百メートルを超えて実感が出てきたかな」と笑う。

 祖父政蔵さんが氷屋を始めたのは、関東大震災(一九二三年)より少し前。昭和に入ると、最も華やかな時代を迎えた向島の花柳界にもお得意を多数抱えた。その後、冷蔵庫の普及で需要は激減。父政夫さんは、それまでにも芸者衆らに出していた食事メニューを充実させ、店を中華食堂にした。高度成長期、周辺には多くの町工場があり、夜遅くまで働く工員たちの胃袋を満たした。

 しかし次第に工場や商店は閉鎖、食堂の客足も減った。調理師学校で学んだ山田さんが十一年前に選んだ道はバー。「話を聞きながら、その方に合ったお酒でもてなす世界に魅せられた」という。Beeでは、カクテルと共に山田さんの中華料理も味わえる。

 数年前から“ツリー効果”もあり「最近移り住んだ」という客が増えた。山田さんは、店を新しい住民と地域をつなぐ場所にしたいと願っている。

スカイツリーに使う鉄骨=千葉県富津市の駒井鉄工で

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<工事メモ> ツリー本体を構成する鉄骨。完成までに3万〜4万トン使用するが、すべて精密に設計されたオーダーメードで、一つとして同じものはない。複数の社に発注するため、製品には個性が出るという。千葉県富津市の駒井鉄工富津工場は全体の2割を担当する。主な工程は罫(け)書き、切断、組み立て、溶接、検査、塗装。鋼管を搬入してから仕上がるまでに、約2カ月半かかる。

 歴史に残る仕事なので社を挙げて取り組んでいるという塚本勝雄・副工場長(60)は「すべてが初めてで大変だったが、ようやく苦しみが喜びに変わってきました」と話す。

 文・小林由比、岡村淳司/写真・笠原和則、中嶋大

 

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