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【スカイツリー成長記】

軽快さ吹き込む

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 ツリーには何人もの“生みの親”がいる。その一人が、ツリーの外観などを決める意匠設計を担当した日建設計の吉野繁さん(48)だ。

 「時空を超えたランドスケープを創造してください」。最初は雲をつかむような発注だった。法隆寺五重塔の心柱や日本刀の曲線など“和”の工夫を取り入れたデザインをチームで提案。社内コンペに寄せられた百通り以上の案も参考に原型を仕上げた。

 東京タワーより足元部分の用地の確保が難しい場所に、その倍近い高さのツリーを建てるのはかなりの難問。鉄骨を網目状に組み、下部では断面が三角形の塔体が上部で円形になる特殊な構成で強度と外観を両立させた。会社の先輩が設計した東京タワーに無駄を省いた構造物の美しさをみる吉野さん。「いくら高くてもコンクリートの塔では満足できない。鉄骨を使って軽快なものにしたかった」と説明する。

 自動車メーカーの技術者を父に持つ根っからの理系人間。三角ビルと呼ばれる新宿住友ビルの吹き抜けを見て感激し、建築の道を志した。早稲田大学理工学部を卒業後、入社。日本科学未来館(江東区)などを手掛けた。新しい発想が求められる意匠設計の分野で四十代後半は決して若くないが「今の方がいいものをつくれる」と自信を見せる。「若いころは流行に引きずられていたが、最近はそんな悩みがなくなった」

 最初に手作りしたちっぽけな模型が今、百メートルを超えるスケールで再現されている。「自分の寿命より長く残るもの。責任の大きさを感じますね」。感慨はひとしおだ。

低床トレーラーに厳重に取り付けられた塔体鉄骨=千葉県富津市で

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<工事メモ> 9月28日、45階建てマンションを追い抜き、墨田区内で一番高い建造物となった東京スカイツリー。千葉県富津市の駒井鉄工富津工場は、製造した鉄骨を、数日おきに建設現場に運ぶ。

 輸送用トレーラーは走行時間が午後10時から午前6時までと定められ、半年前から警察にルートを届け出る。運べるサイズも厳密に決められている。「そもそも鉄骨の設計は輸送上の規制を基に考えます」と担当者。

 海路も検討したが隅田川が浅く船が入れないため断念。規制で首都高も利用できない。トレーラーを運転する多田満さん(47)は「道路幅をいっぱいに使うので、他の車と接触しないか気を使います」。

 文・岡村淳司/写真・笠原和則、藤原進一

 

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