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【スカイツリー成長記】

和の陰影 表情豊かな光

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 隅田川をイメージした淡い水色の「粋」と、気品ある江戸紫の「雅(みやび)」。江戸の心意気と美意識が、1日ごとに交互に現れる。夜間照明デザインを考案したのが、ライティングデザイナー・戸恒浩人さん(34)だ。

 「デザインの骨格って理屈ではなく、経験が一瞬で結び付く。粋と雅は、自分の中にぼんやりとあったコンセプト。考えた時間は2日か3日ぐらい」。直観的にまとめた構想が一昨年夏、採用された。

 目指したのはちょっぴりよそ行きの光。「結婚式のドレスほど派手ではないが、普段着ではなく、パーティーに出席する外出着ぐらい。品が良く、見る人がいい気持ちになる感じ」。発表までの2年間は、風圧に耐える機材選びや、できる限り発光ダイオード(LED)を使うことなど主に技術、コスト面を検討してきた。

 職人にあこがれ東京大工学部建築学科に進んだ。しかし「腰を据えてやる建築という仕事は、好奇心が強く、直観的な自分とリズムが合わない」と感じるように。そんな時、照明デザインの世界に出合った。第一人者の面出(めんで)薫さんの事務所に就職し、2005年に独立。浜離宮のライトアップなどで評判を呼んだ。阿佐谷に事務所を構え、年の3分の1は海外での仕事だ。

 照明プランのよりどころとするのは、日本建築の光と影。「暗くて深い軒の空間から、明るい庭が開ける美しさに感動する」

 スカイツリーの照明も、強く陰影を意識した。「光は伸ばしても100メートルなので、下(土台部分)と上(第1展望台)から照らしても、真ん中は届かない」。ちょうど、暗くなる部分でツリーの断面が三角から円形に変わる。「いつの間にか丸くなっている雰囲気が表現できるので、光を当てようと頑張らなくていいんです」

ガラス製の外装パネルが張られた内塔シャフトエレベーター部分

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<工事メモ>東京タワー 春には超える

 順調に工事が進む東京スカイツリー。予定では来年二月末ごろ三百メートルを超え、春には三百三十三メートルの東京タワーを追い越す。「風、雷、雲の中での施工。日本で誰も経験したことのない高さでの作業になる」と大林組の田渕成明作業所長は意気込む。

 鉄骨に包まれた中心には「シャフト」と呼ばれる円筒が、地上から第二展望台までの四百五十メートルを貫く。一角には、第一展望台まで約五十秒で到達する高速エレベーターの入る場所があり、ここはガラス張り。完成すれば空に向かってジャンプする気分が味わえるかも。

 文・井上幸一/写真・笠原和則、朝倉豊

 

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