東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > アーカイブ2011 > スカイツリー成長記 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【スカイツリー成長記】

一から勉強 案内に誇り

写真

 むくつけき男たちが汗を流すツリーの建設現場。そこから道路1本隔てた場所に、4人の女性スタッフが切り盛りする華やかな空間がある。昨春オープンした「東京スカイツリーインフォプラザ」。久保井葉子さん(30)は、その立ち上げスタッフの1人として、池袋の東武トラベルの支店から抜てきされた。

 ツリーを見物しに訪れた団体・個人に工事の進ちょく状況などを説明し、完成後にまた来てもらえるようもてなすのが仕事。今や週末に900人近くが訪れる人気スポットで、平日限定の団体予約は半年先まで埋まっている。「細かい点は一から試行錯誤しました。忙しいけどやりがいがあります」

 大田区出身で、都内のホテルでアルバイトしたのが旅行業界を志したきっかけ。客に非日常を提供する喜びに目覚めた。インフォプラザへの異動は青天のへきれきだったという。大学時代は日本史を専攻し、建設については全くの素人。分からないことはインターネットや辞書で調べて勉強ノートに書き込んだ。「ツリーの成長に合わせて仕事内容も変わるので、後ろを振り返る暇がない。自分も一緒に成長しなきゃ」。苦手だった団体客の誘導も、そつなくこなせるようになった。3色のシャツと2色のスカーフを、その日の気分でコーディネートする。ツリーが開業すればインフォプラザも役割を終える予定だ。「華やかな場所でにこにこしているだけと思われたくない。お客さまに満足してもらえる案内をしたいです」。笑顔の奥にガッツがのぞく。

正確な円となっているか、定規を当てて確かめる作業員=兵庫県伊丹市の佐々木製鑵工業で

写真

<工事メモ>厚さ6センチの鉄板くるくる

 巨大なスカイツリーは、材料も巨大。使う鉄骨は、総計三万〜四万トン。大きく分厚いものは、加工技術を持つ工場も限られてくる。

 その一つ、兵庫県伊丹市の佐々木製鑵工業は、約五千トン分の鋼管加工を受注している。ツリーの最上部、テレビ電波の送信アンテナを設置する「ゲイン塔」に使う鋼管は、厚さ六センチの平らな鉄板を、国内最大級の油圧プレス機で六〜八センチずつずらしながら六千五百トンの圧力を約四十回かけ、少しずつ丸めていく。

 正確な円に加工できているかどうかの確認は、手作業。プレスする度に、特製の「定規」を当てる。誤差は二ミリほどに収まる。

 同社は六本木ヒルズの鋼管も手掛けた。それでも、ツリーは特別な存在だ。「鉄は押した後に少し戻るが、ツリーの鋼管は高強度で戻りが激しく、押す加減が難しい。百〜二百トンをテストに使い、実加工開始まで約一年を要した」と佐々木正文専務は明かす。

文・岡村淳司、井上幸一/写真・笠原和則、五十嵐文人

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報