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【スカイツリー成長記】

1年で300メートル 育ち盛り まもなく東京タワー超え

写真家の小野寺宏友さん

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 青空に突き出た白い塔の成長が、日々下町の景色を変えていく。完成すれば、世界一の高さとなる電波塔・東京スカイツリーはまもなく、東京タワー(333メートル)を追い抜く。

◆定点撮影コツコツ 『自分との闘い』

 「それだけ大きいものが建つなら、撮っておきたい」。動機はシンプルだった。写真家小野寺宏友さん(49)はスカイツリーが着工する1年近く前から地元を歩き回って撮影ポイントを選定。白い塔体が川面に映える十間橋など8カ所で定点撮影を続け、成長をこつこつと記録している。

 特撮番組「サンダーバード」に影響されジオラマ写真を撮り始めた。25歳で写真家として独立し、被写体は深夜の建造物や東京の水辺に。題材によっては、定点撮影という手法も活用しながら、文明が造った“無名の彫刻”を感性で切り取る。「自分の死後も残る作品を撮る」のが目標だ。

 「被写体だけでなく、その周囲が重要なんです」。定点観測の原点は小学生のころに出合ったバージニア・リー・バートンの絵本「ちいさいおうち」。変わらない一軒家の周囲で、景色が目まぐるしく移り変わる描写に心を打たれた。

 ツリーからの距離、仰角、レンズを入念に計算して撮影を始めたが、それでもうまく収まりきらないポイントが出てきそうだ。「やはり建ってみないと分からないことがあります」。未知の高さに伸びるツリーは、想像以上に手ごわい。

 バックに青空が欠かせないため、はらはらしながら晴天を待ち、重い機材を抱えて撮影ポイントを巡る。ひと月逃せばすべてが台無しになるため、おちおち病気もできない。

 完成したら3年分の写真を使ってパノラマ作品にしたいという。塔体は300メートルを超えたが、マラソンに例えればようやく折り返し地点。「定点撮影は自分との闘い。サボらず最後までやり抜きたい」と、意気込みを新たにしている。

ねじれているようにも見える撮影の好ポジション、東武橋。混雑整理のための掲示も張られた=墨田区で

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<工事メモ>絶妙 『ねじれ』の美

 三百メートルを超え、完成時の高さ(六百三十四メートル)のほぼ半分まで到達した東京スカイツリー。成長につれ「そり」と「むくり」がある独特の姿が現れた。そりは頂点から脚の部分に流れる日本刀のようなカーブで、むくりは平安寺院の柱のような中央部分のふくらみ。相反する要素が溶け合った不思議な形状で、角度によってはねじれているように見える。

 開業後のライトアップでは上と下の両方から光を照らし、そりとむくりの美しさを際立たせる。照明設備を担当するパナソニック電工は「照明事業を始めて五十八年目。培った技術でライトアップを完成させたい」と話す。

 

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