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【スカイツリー成長記】

いよいよ難所へ

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 大林組新タワー建設工事事務所の田渕成明・作業所長(55)は東京スカイツリーの本体工事を取り仕切る“現場指揮官”=写真。毎朝のようにてっぺんに登り、富士山や房総半島の絶景を背に工程を確認する。東京タワー超え翌日の朝礼では、四百人の作業員に「日本一になった。誇りを持って仕事をして」とげきを飛ばした。

 東京に百カ所以上の現場を抱える大林組。作業所長に選ばれたのは、複数の高層建築を手掛けた実績だけでなく、その前の現場を終えたタイミングも大きかったという。ツリーは将来にわたって同社の看板になる大仕事。「たまたま選ばれた」と謙遜(けんそん)しつつ、「一生タワーを経験できない人が圧倒的に多い。光栄に思います」。

 大阪府能勢町で生まれた農家の次男坊。大工仕事を見るのが好きで、工業高校の建築科に進んだ。一九七三年、大阪が本拠の大林組に入社。三年目、水門付近に小さな建物をつくる仕事を初めて一人で任された。「ツリーよりプレッシャーを感じた」と懐かしむ。

 これまでの工程で一番難しかったのは塔体を支える三本脚の連結という。その裏には精密な図面を描いた者、鉄骨を正確に製造した者、高所で組み立てたとび職人など、大勢の力があった。「どれ一つ欠けても成り立たなかった」と強調する。

 事故を起こさないこと、工期を守ることを絶対条件と教えられてきた。昨年世界一の高さを目指して設計変更したが、ピッチを上げて当初の工期を死守するという。

満開のソメイヨシノに彩られる隅田公園から望む東京スカイツリー=台東区で

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 ツリーの高さは完成時の半分を超えたものの、外にせり出して足場が悪い第一展望台(高さ三百五十メートル)など難関はこれからだ。アンテナを設置するゲイン塔の組み立て、タワークレーンの入れ替え…。工程はパズルのように入り組む。「うまくいって当たり前と思われる作業。まだ三分の一が終わったぐらいの感覚です」と、ヘルメットの緒を締める。

 文・岡村淳司/写真・笠原和則、中西祥子

<工事メモ>トイレ臭防ぐ秘策

 ツリーはトイレの高さも日本一。下水管を流れ落ちる汚水は秒速10メートルを超えるという。その勢いで管内が真空になり、便器にたまってふたの役割をする水が引き込まれると、悪臭が逆流してしまう。その防止策となるのが、縦の配管の連結に採用される「減速継手(つぎて)」だ。

 出っ張りをつけた部材で、管の内側に張り付いて落ちる汚水の勢いにブレーキをかける。日建設計設備設計室の高辻量主管(42)は「落下速度が半減する。これも先端の技術ですね」と説明する。

 

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