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【スカイツリー成長記】

風に挑み クレーン操作

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 東京スカイツリーの最上部からそびえる、三基の大型クレーン。その操縦席で、鉄骨のつり上げ操作を担当している大林組の辺見厚志さん(35)は「とにかく高い。天気によっては、雲の中で作業をしているような感覚になります」と話す。

 国内の建造物として未知の領域を伸び続けるスカイツリー。「高所では風が強いので、荷物の揺れに合わせて、微調整を加えながら慎重に引き上げます」。国の基準で、十分間の平均風速が秒速一〇メートルに達するとクレーン作業は中止になる。ただ、急に突風が吹くこともあり、操縦中は一瞬たりとも気が抜けない。

 最大で約三十トンの鉄骨を最上部につり上げるのにかかる時間は十分ほど。その間、クレーン先端と、塔体の百メートル地点にあるカメラの映像に目を凝らし、荷物が揺れないよう、手元の操縦レバーで微調整しながら引き上げる。

 最上部まで到達した鉄骨をはめ込む作業は、とび職人との信頼関係がものをいう。無線で交信しながら鉄骨を降ろす場所を調整していく。「とび職と操縦士の息が合わないと、場所が定まらない。お互いの連携が、一連の作業の中で最も重要です」と力を込める。

 作業開始は午前八時。エレベーターを乗り継ぎ、はしごを上って十五分かけて操縦室にたどり着く。それから午後五時までは簡易トイレ付きの操縦室で缶詰め状態になる。作業の合間に無線で、とび職人と冗談を言い合って笑うことも。気晴らしでもあり、大切な関係づくりでもある。

空から見た東京スカイツリーはまるで日時計のようだ=墨田区で、本社ヘリ「あさづる」から

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 ドーバー海峡トンネルのような大きな工事に携わりたいと思い、工業高校を卒業して入社した。クレーン操縦歴は十年ほど。これまで数多くのビル建設にかかわってきたが、完成後に建物を訪れたいと思ったことはなかった。でも、スカイツリーが開業したら、必ず展望台に上がろうと思っている。

 「世界一の仕事に参加できるなんて、きっと一生に一度しかない。プレッシャーも感じるけど、やりがいも大きいです」。うれしそうに話す辺見さんは、まるで夢を積み上げているようだ。

 文・小野沢健太/写真・笠原和則、潟沼義樹

<工事メモ>第1展望台工事に着手

 第1展望台(高さ350メートル)の工事が、今月5日から始まり、筒状の塔体から外側にせり出す鉄骨が見えてきた。6月末には鉄骨組みが終わり、塔は帽子をかぶったような姿となる予定だ。

 第1展望台は、それより上に塔を伸ばしていく工事の中継地点となる。現在最上部にある3基のクレーンが1基増え、展望台の屋根に4基を固定。地上から鉄骨をつり上げて屋根に置くクレーン2基と、屋根から上に鉄骨を持ち上げるクレーン2基に役割分担する。

 

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