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【スカイツリー成長記】

せめぎ合う 現場と設計

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 三月下旬、東京スカイツリーの工事関係者が工事現場にある会議室に連日のように集まっていた。第一展望台の設計図を修正する作業が、大詰めを迎えていた。

 設計や施工、内外装メーカーなど、さまざまな立場の約四十人が机の上に広げた図面をぐるりと取り囲む。「この部分は造りづらい」「だったらこう変えよう」。コンセントの配置といった細部まで話し合い、図面にペンで修正点を次々と書き込んでいく。時には怒号も飛び交う白熱した会議は朝から晩まで続いた。

 「ハイテクを結集した設計図ですが、最後の仕上げは、かなり泥くさいです」。日建設計の土屋哲夫さん(40)は、工事現場で設計図の意図を施工側に伝え、図面の修正をする作業を担当している。

 安全確保が最優先される高所での建設作業。図面通りには造れない事態も出てくる。「設計者のわがままは通用しない。現場のさまざまな意見を聞き、実現可能な方法を探っていきます」

すりばち形の第1展望台。背景に見える都心の景色が完成時の展望となるだろう

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 第一展望台の展望ガラスは当初、取り付けの際に鉄骨の外側から内側へはめ込むよう設計されていた。しかし、すり鉢状にせり出す展望台では、作業時にガラスを外側に出すことは危険を伴う。施工者や外装メーカーと協議し、鉄骨の内側から立て掛ける形式に変更した。

 設計側の理念と、作業の現実性の間でせめぎ合う工事。それでも「工事に携わる人たちは立場が違っても、何とかしてより良い物を造ろうという思いは同じ。だから、アイデアがどんどん出てくる。現場は前向きな熱気に包まれています」と胸を張る。

 意見がぶつかることも多いが「世界一を造る工事なんてほかではできないんだから、やってみましょう」という“殺し文句”で周囲を動かし、これまで順調に乗り切ってきた。

 「展望台は最大の見せ場。期待に応えられるよう工事関係者間で意見を出し合って仕上げていきたい」。設計図に現場の思いを肉付けして、スカイツリーは形になる。

 文・小野沢健太/写真・笠原和則、潟沼義樹

<工事メモ>リモコン技術で安全確保

 外側にせり出していく第1展望台は、工事の難所。展望台の床部分の一番下に設置する外装パネルは、安全確保のためにリモコン操作で取り付け作業をした。

 床部分は、塔体から約3メートル飛び出ている。通常の工法では真下に足場を用意して取り付けるが、高さ約340メートルの地点に宙づり状態になるのは危険。そこでパネルを、リモコンで向きを調整できる方向調整装置に載せてクレーンでつり上げ、とび職人が所定の位置に誘導して固定した。大林組は「安全に工事を進めるため、さまざまな技術を使って工夫しています」と話す。

 

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