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【スカイツリー成長記】

地中熱でエコ冷暖房

採放熱チューブを持つ東武エネルギーマネジメントの今野真一郎常務

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 東京スカイツリーの「一番」は、六百三十四メートルの高さだけではない。塔体以外の商業ビルやオフィスビルの空調に日本で初めて、地中熱を利用した地域冷暖房システムを導入する。

 総延長十二キロのポリエチレン製のチューブを、建物の基礎に取り付けたり、深さ百二十メートルの穴を掘ったりして埋設し、水を循環させる。地中の温度は年間を通して一五〜一七度で安定しており、チューブ内の水はそれに近い温度になって地上に戻り建物を循環して室温を調節する。

 「井戸水が夏は冷たく、冬には温かく感じるのと同じ」と、空調の開発を担当する東武エネルギーマネジメントの今野真一郎常務(52)は説明する。

 今まで利用されなかった自然エネルギーを使い、省エネを達成する。これは、まだ「東京スカイツリー」という名前もなく、墨田区への誘致すら確定していなかったころから、新タワー建設の大きなテーマだった。

 二〇〇五年十二月に東武鉄道やグループ会社でつくる省エネ検討チームが発足。空調に利用するエネルギーの候補として、▽隅田川の河川水▽雨水処理場の水▽地中熱−が挙がった。

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 隅田川は水量が豊富だが、建設地と離れていて高コスト。雨水は量が不安定なのが欠点だった。地中熱はボーリング調査で十分な熱量が確保できることが分かり、採用された。

 地中熱で地域冷暖房のすべてをまかなうわけではないが、ガスボイラーなどを使う従来方式と比べ、年間消費エネルギーは48%、二酸化炭素(CO2)排出量は40%少なくできる見通しだ。なお、水を高所に送るとエネルギーがかさむので、ツリー本体には地域冷暖房は使っていない。

 地中熱は欧米では広く利用されているが、初期投資額の高さなどから、国内ではなかなか広まらない。今野さんは「注目度の高いスカイツリーが、普及のきっかけになってほしい」と話す。

 これとは別に一万トン近い水が塔の地下には蓄えられる。地中熱方式と並行して使用される空調用水七千トンは、災害時に生活用水として住民に提供される。二十三万人が一日に必要とする量をまかなえる計算だ。二千六百三十五トン分の雨水貯留槽も用意。八百トンは商業施設でのトイレ用水などに再利用。残りの千八百三十五トンは、集中豪雨などの際、洪水を防ぐために一時的に雨水をためる。

 “縁の下”で、水は世界一の塔を支え、地域を支える。

  文・小野沢健太/写真・笠原和則、戸田泰雅、久野功

 

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