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【スカイツリー成長記】

最上部の強さ極める

ゲイン塔用鋼管を製作したプレス機の前で話す大阪特殊鋼管製造所徳島工場の山田昭一工場長=徳島県松茂町で

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 「とにかく硬い。成形するプレス機の方が傷んでしまう」。東京スカイツリーの最上部「ゲイン塔」の骨組みとなる鋼管を造った大阪特殊鋼管製造所徳島工場の山田昭一工場長(60)は材料の硬さにびっくりした。

 ゲイン塔は多数の鋼管が組み合わさって巨大な六角柱の構造物になる。五百メートル以上の高さで、強風や地震に耐えるため、強さとしなやかさの両方が求められる。

 工場では、通常の一・六倍という高い強度の鋼板を、丸めてパイプ状の鋼管に加工する。鋼板をプレス機で押し曲げ、数センチずらしてまた押し曲げ−を繰り返すのだ。

 二〇〇七年春からスカイツリー仕様の鋼管の試作を始め、材質や丸め方を何度も変えてやり直し、数百トンの試作品の山を積み上げた。「これは大変なことになる」と覚悟は決めていたが、想像以上だった。

スカイツリー内部で持ち上げられるゲイン塔。底部がみえる=7月4日、墨田区で

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 「粘り強さもあって曲げた後の戻りが激しく、どこまで押していいのか迷った。あんな鋼板は初めて。恐ろしさすら感じた」。プレス機操作歴二十三年の村野一秀さん(59)は、こう振り返る。

 検査では細かい傷も許されず、本来なら問われない項目についても厳格な仕上がりを求められた。通常の鋼管なら一日に二十本ほど製造できる。それがゲイン塔鋼管になると、二〜三本が限度だった。

 スカイツリー全体で三万〜四万トンに上る鋼管のうち、同工場は四千二百五十トン(約七百本)を納入し、今年四月に作業を終えた。

 「世界一を造るという実感のある作業。大変だったけど、終わってみると寂しい」と山田工場長。だが楽しみもある。

 スカイツリーは、ビルなどと違い、鋼管がそのまま外観になる。完成後、自分たちが製造した鋼管がどのような造形美になっているのか、見に行きたい気持ちでいっぱい。苦労した分、愛着も深い。

<工事メモ>内部で組み立て着々

 7月30日に高さ400メートルを突破。2カ月ぶりに塔体の組み立て工事が再開された。ゲイン塔の組み立ては外から見えない塔体内部で着々と進む。現在、全長165メートルの半分まで完成している。10月末に塔体が495メートルに到達したのちに、組み立てたゲイン塔が、その上に頭を出し始める。

 ゲイン塔の素材となる鋼板造りを担当した鉄鋼メーカーの一つ、住友金属工業は「水力発電所で水を一気に落とす水圧鉄管の製造技術を応用した」とする。特殊な熱処理などで、高強度と高い粘り強さのある鋼板を実現させた。

 文・小野沢健太/写真・笠原和則、戸上航一、久野功

 

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