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【スカイツリー成長記】

展望台 原寸大の図面で万全策 雷だって怖くない

電気設備を説明する日建設計の渡辺薫さん

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 雷が横方向から当たってくる。高さ三百五十メートルと四百五十メートルという東京スカイツリー第一、第二展望台では、そんな可能性がある。「展望台の外壁や窓サッシは、落雷も意識して造っています」。電気設備の設計を担当した日建設計の渡辺薫さん(44)は話す。

 スカイツリーは、塔体の鉄骨そのものが避雷針の役割を果たしており、落雷の電流は鉄骨を通って地中へ吸収される。ただし、展望台には鉄骨のほかにも、外装のパネルや窓ガラスのサッシなど金属部分がある。それに向けて落雷が起きるケースも想定される。

 「例えば、展望台ガラスのサッシと鉄骨の接続が不十分だと、落雷の電流がスムーズに通らず、そこが大きな電気抵抗となって発熱し、サッシがゆがんで、ガラスが傷つくことも考えられます」。そのようなことがないよう、渡辺さんは工事現場に入り、部品と鉄骨の接続具合を「工作図」と呼ばれる図面でチェックする。

 工作図には、資材の接続部分などが原寸大で載っている。それを見て、金属のつなぎ目がしっかりと接続され、電流が通るようになっているかを確認する。「特別なことはしていませんが、一つ一つしっかりと確かめていく作業が大切です」

 落雷で起こりうることのうち、やっかいなのが停電だ。

 「電波塔で、停電はあってはならない。信頼性を意識して設備設計をしました」と力を込める渡辺さん。電波塔の機能に関係する電気系統はすべて二重にして、ケーブルのルートや機械室も別々に配置した。一方が停電しても、もう一方でバックアップできる。

青いネットが外され、外壁が見えるようになった第1展望台=墨田区で

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 高さ、デザイン、高度な建築技術…。スカイツリーにはさまざまな特長がある。「建築物の血となり神経となるのが電気設備。デザインと機能を両立させたのが『美しい建築』だと思う。世界一の電波塔の建設で、それに挑戦できるのは光栄ですね」と話す。スカイツリーに望むことは「電波塔としての役割を確実に果たすこと」ときっぱり。華やかな魅力を、堅実な機能で支える。

<工事メモ>非常階段 上昇中

 スカイツリー最上部に設置されるアンテナ用の「ゲイン塔」(長さ約140メートル)は、塔体内部で少しずつ引き上げられており、現在、第1展望台あたり。その根元には約100メートルの階段が、ぶら下がるように取り付けてある。これが、第1、第2展望台をつなぐ非常階段だ。

 事業主の東武タワースカイツリーと施工者の大林組によると、12月上旬ごろゲイン塔が上空へ向けて姿を現し、来年春ごろ高さ634メートルに至ると、一緒に引き上げた非常階段が二つの展望台の間にたどり着く。

 第1展望台から地上までの非常階段は、ゲイン塔を引き上げた後、塔体内部に造る「心柱」と呼ばれる鉄筋コンクリート製の円筒の中に取り付けられる。

 文・小野沢健太/写真・笠原和則、坂本亜由理

 

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